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 優れたCIO(最高情報責任者)の条件は、IT(情報技術)より業務に精通していることだと私は考えるが、過去4年でこのコラムを通じてお会いしたCIOもまさに会社の業務を熟知していらした。インタビューの数が50人にもなろうとするに至り、1つ大きなことをつかんだ。

 これらCIOが精通している業務は、日本企業の強みであるものづくりやサービスに偏っているということ。工場のオペレーションや、店舗や流通の仕組みだ。ものづくりがうまいから、サービスに力を入れる文化だから、CIOもそれらに焦点を当てITで改善を加え、結果として世界でも稀に見る品質を生み出した。だが、あえて辛口に言えば、強みを徹底的に強くした分、弱みには手がつけられていない。

ITの威力をみくびってはいけない

 日本経済再生の方法として、ものづくりをテコにという議論がよくなされている。私も政府の委員会などで、同様の意見を述べる。だが、このインタビューを通じて、既に頂点に達したものづくりよりも、意外と日本企業の弱みの部分を改善することのほうが成長を後押しできるのではないかと考えるようになった。そこで、私の近年の主張は、日本企業におけるホワイトカラーの生産性向上だ。

 実は、事務職、それも、上級事務職の生産性には日本企業は全く手をつけていない。経営企画や商品企画、マーケティング、営業などがITを駆使する姿を見たことがない。先進国の間で、日本ほどBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールの活用が遅れている国はないのではないか。顧客データベースを構築し訪問頻度と成約率の相関関係を調べ、商品データベースと顧客データベースを紐付けて販売に生かしている会社が何社あるだろう?

 日本は労働力の質が高いので、米国のようにツールで標準化を図って質を補う発想がそもそもないが、これほどITが生活に浸透してくると、ITの威力をみくびってはいけない。ホワイトカラーの生産性を測るシステムや生産性を上げるIT活用が、今後の日本経済をけん引する気がしてならない。

石黒不二代(いしぐろ ふじよ)氏
ネットイヤーグループ代表取締役社長兼CEO
 シリコンバレーでコンサルティング会社を経営後、1999年にネットイヤーグループに参画。事業戦略とマーケティングの専門性を生かしネットイヤーグループの成長を支える。日米のベンチャーキャピタルなどに広い人脈を持つ。スタンフォード大学MBA