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山本 堅一郎 大和総研ビジネス・イノベーション

 計画立案に続き、デスクトップ仮想化の設計フェーズでは主に4つのマイルストーンを想定している。(1)仮想化ソリューションの選定、(2)ハイパーバイザー設計、(3)ストレージの設計、(4)デスクトップの設計――である。それぞれについて、デスクトップ仮想化ならではの設計ポイントを順に紹介していこう。

仮想化ソリューションの選定

 デスクトップ仮想化の導入目的に沿って、最適なデスクトップ仮想化ソリューションを選択することから設計が始まる。重要な作業なので、必要に応じて分析フェーズ(もしくはコンサルティングフェーズ)を設け、自社によりマッチするものを、時間をかけて選択してもよい。大規模な構築となる場合には、パイロット導入を行い、設計や運用について見極めるのもよいだろう。

 表1は、主なデスクトップ仮想化ソリューションである。各ソリューションの詳細については、以降のトピックごとに触れていくので、ここでは概要説明にとどめておく。

表1●主要デスクトップ仮想化ソリューションの概要
&nbspVMware
View
Citrix
XenDesktop
Microsoft
VDI Suite
特徴VMwareのデスクトップ仮想化ソリューション。サーバー仮想化でも実績があるメモリーオーバーコミット「トランスペアレント・ページ・シェアリング」を利用することで、メモリーを最大限有効に利用できる。圧縮効果の高い画面転送プロトコル「ICA」を利用でき、帯域制限が厳しいモバイル環境では有利となる。アプリケーション仮想化で実績のあるXenAppもシームレスに利用でき、高機能。XenServer以外のハイパーバイザーも選択できる。仮想デスクトップのOSはWindowsとなるので、サーバーOSと一体化した保守が期待でき、親和性も非常に高い。仮想化専業ではないが、Citrixと協業関係にある。
気になるポイントメモリーオーバーコミットは他ベンダーも実装し、高集約のアドバンテージは少なくなった。Windows 7の正式対応が遅れている。多機能だが、すべて実装するとサーバーが多くなるため、保守運用が気になる。仮想化専業ベンダーと比較すると機能的にやや見劣りする。

ハイパーバイザーの設計

 仮想化ソリューションを選択するとハイパーバイザーは一意に決定されるが、CitrixのXenDekstopではXenServer以外のハイパーバイザーも選択可能である。これまでの大規模な導入事例では、XenServerよりVMwareと組み合わせるほうが多い傾向にある。これはVMwareのハイパーバイザーの性能が、より優れていたためと思われる。

 XenDesktopとVMware(ハイパーバイザー)は安心して組み合わせられるが、その場合はVMwareのライセンス分だけコストアップになってしまう点はよく検討してほしい。XenDesktopの場合、ハイパーバイザーなどをCitrix製品でそろえると、ライセンスのコストメリットが非常に大きい。

 ハイパーバイザーの設計については、サーバー仮想化の場合と比べ、さほど違いはない。ただし、ホストするノード(ここではデスクトップ数)が多くなるうえ、同時刻に一斉に稼働するようなタスク(始業時に一斉にデスクトップを利用し始めるなど)が起こりやすいので、負荷状況の監視が重要である。また、詳しくは後述するが、デスクトップ起動の制御が必要になる。

ストレージの設計

 デスクトップ仮想化では、デスクトップOSイメージをネットワークストレージに格納して利用する。SANやiSCSI、NFSなどを利用する点でサーバー仮想化と同じである。異なるのは、ユーザーごとのプロファイル(ソフトウエアの設定情報やユーザーデータ)用に別途ストレージが必要になる点だ。Windowsからのアクセスなので、ファイル共有プロトコルはCIFS(Common Internet File System)を利用することになる。メールをPOP3で利用する場合は、メールデータが大容量になっていることが多く、性能もさることながら容量の見積もりにも注意が必要だ。

 小規模な構成では、安価な小規模NASストレージを必要な容量を満たす台数だけ導入すれば価格を抑えられる。規模が大きくなる場合は、スケールアップ可能な高性能ストレージかスケールアウト可能な仮想ストレージを検討すべきだろう。そうしないと、デスクトップを増設するたびにストレージを再構成することになり、管理も難しくなってしまう。高性能なネットワークストレージは重複排除機能を備え、大容量キャッシュによる性能面での恩恵もある。特に重複排除機能は、ストレージ容量を比較的抑えることも可能なので検討すべきだ。