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 交渉術を指南する類書には、天性の才能を備えた“交渉の達人”が、自らのテクニックを披露するものが少なくない。読み物としては楽しめるが、すぐにまねできそうにはない。米ハーバード・ビジネススクールで交渉学を教えている著者の2人は、「交渉とはアートであって科学ではない」と見るのは誤解だと主張し、多くの事例を挙げながら交渉の基礎理論や交渉心理学を解説する。

 とはいえ、堅苦しい教科書ではない。「複数の論点を同時に交渉する」「要求ではなく利害の調整を目指す」「何事も『相手の問題』として片付けない」といった指摘は、「交渉の達人とは、人間関係の達人」と著者が言うように、実生活のあらゆる場面に応用できそうだ。

交渉の達人

交渉の達人
ディーパック・マルホトラ/マックス・H・ベイザーマン著
高遠 裕子訳
森下 哲朗監訳
日本経済新聞出版社発行
2625円(税込)