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 IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を厳しく指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー

 IT(情報技術)業界、ITベンダー、システムインテグレーター、システムコンサルティングで働く人を、私は“システム屋”と呼びます。この世界に入ると、JavaやCなどのプログラミング言語を覚え、テストケース設定に頭を悩ませ、設計を任され、ユーザーとの要件定義の打ち合わせで何らかの提案ができるようになると、“システム屋”として一人前と呼ばれるようになります。

 その後、新人時代に神様のように思えた先輩がただの人に見えるようになったその時、もしかするとダメな“システム屋”への道が始まっているのかもしれません。

 言われたことさえ出来なかった新人時代を経て、言われたことならできるようになり、多少は言われる前にできるようになると一人前と見なされます。しかし、ここからの成長ができない人は少なくありません。

 1979年に“システム屋”の世界に飛び込んだ私にとって、多くの先輩は既に定年退職を迎えました。出世したかどうかとは別として、多数派はダメな“システム屋”として会社人生を終えました。

“システム屋”は本当にITのプロなのか

 実は、“ユーザー企業”(企業のほか、政府・地方自治体・医療機関なども含む)が抱える課題に対してITのプロとして解決策を提案できるようになる人は少数派です。他社事例を紹介しながら、まねるべき部分と独自に考える部分を仕分けして、要件定義を主導できるようになる人は少数派です。課題山積のプロジェクトにおいて、冷静な分析と鋭い洞察によってひとつひとつ問題点を洗い出し、それを解決できるようになる人は少数派です。

 広い視野を持って、業種全体の課題をあぶり出し、社会的に意義のある解決策、いわゆる“ソリューション”を推進できるようになる人は少数派です。IT業界全体に対して鋭い問題意識を持ち、評論家ではなく先駆者となって、人望を集めながら改革を推進するようになる人は少数派です。

 ユーザー企業から「会いたい」と言われる“システム屋”、読みやすい文章を書く“システム屋”、報告が簡潔な“システム屋”、問題点を大げさでもなく過小評価もしないシステム屋、人脈は広いが口先だけでない“システム屋”、諸外国のIT産業にも関心を持っている“システム屋”なども少数派です。

“パワポ依存症”“ゴルフ中毒”に要注意

 ダメな“システム屋”になってしまう兆候は、まず行動様式に表れます。

 報告資料作成にパワーポイント(PowerPoint)などのスライドを駆使しつつ、枝葉の部分で華麗なワザを多用し、イラストだらけ、大げさなグラフだらけで、カラー印刷したくなるような分厚い資料が出来上がったとき、達成感に浸っている自分がもしいれば、ダメな“システム屋”としてほぼ完成の域に達しています。

 「“システム屋”として出世するにはゴルフは必須だ」と先輩にそそのかされ、人生で投入する総時間、総エネルギーを計算せずに、結局“システム屋”の仲間内で頻繁にコースに出て10年が過ぎたころには、もう手遅れでしょう。もしゴルフではなく、英語など語学の勉強に没頭していればと反省しても、後の祭りです。

 「オレは聞いていない」と机を叩く“システム屋”、話を聞かない“システム屋”、何を言いたいのかわからない“システム屋”、質問に答えない“システム屋”、夢のようなベストシナリオばかり追いかける“システム屋”、ワーストシナリオばかり吹聴して危機感をあおる“システム屋”、過去の栄光を自慢してばかりの“システム屋”、他人の成功をこきおろすのが得意な“システム屋”、海外で豪華な旅行をしてくる“システム屋”、・・・。