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 「クラウド上にシステムを構築しても,借り受けるマシン・リソースが望み通りに増減するわけではない。クラウド向けの管理ソフトを採用することで,それが可能になった」(東芝 ネットワークサービス事業統括部 インターネットビジネス統括責任者 村永哲郎氏)――。

 東芝は,薄型テレビやHDD(ハードディスク)レコーダーなどのデジタル家電を対象にしたファームウエア配信システムをクラウド上に構築。米Amazon Web ServicesのIaaS[注1]型サービス「Amazon EC2/S3[注2]」を採用した。

 東芝の狙いは,システムの維持コストの削減である。配信システムの負荷の変動に合わせて,クラウド上で利用する仮想マシンの数を増減させる。

 デジタル家電に対する機能追加や不具合修正を目的としたファームウエアの配信システムは,新しいファームウエアを公開した後1週間程度はアクセスが集中する。それ以外の時期はアクセスが減るため,仮想マシンの台数を減らす。これによって,ピークに合わせて自前でシステムを構築するよりも大幅にコストを削減できる。Amazon EC2/S3は,仮想マシンを動かした時間単位でしか課金されないからだ。

仮想マシンが自動的に増え続けるのは不安

図1●東芝が構築したファームウエア配信の仕組み
図1●東芝が構築したファームウエア配信の仕組み
デジタル家電のファームウエアの配信を2010年2月に開始することを目指してこの仕組みを構築。アクセスの増減に合わせて仮想マシンの数を変えてコストを抑える。仮想マシンの増減を制御するためクラウド管理ソフトを採用した。
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 東芝は,この仕組みを実現するために,クラウド用の管理ソフトを採用した(図1)。ファームウエアの配信日に仮想マシンを増やすというスケジュールを設定しておき,アクセスが減ってきたら人手で仮想マシンを減らしていく。

 仮想マシンの負荷に応じて仮想マシン数を自動的に増減させたいなら,Amazon EC2/S3のオプション機能「Auto Scaling」を使えば実現できた。しかし「アクセスが増えたとき,仮想マシンが勝手に増え続けるのはコスト面などで不安があった。仮想マシンの増減は人手で制御したかったので,管理ソフトを導入することにした」(東芝の村永氏)。

 配信するファームウエアの第1弾は,海外の特定地域で購入された数十万台のデジタル家電が対象で,2010年2月中に配信を開始する予定とした。配信用のWebサーバーはまず4~5台程度を動かし,アクセスの増減に合わせて人手で調整する。今回のシステムは「今後,対象機器が世界の数千万台に増えても対応できる基盤として構築した」(同)という。