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弁護士
大 毅

 昨今、IFRS(国際会計基準)や内部統制報告制度の法制化など、企業情報の開示(ディスクロージャー)制度が非常に動いている。投資家に必要・有益な情報を付与することを目的とする企業情報の開示制度は、法律上は金融商品取引法上の開示が中心となる。適時開示をはじめとする金融商品取引所の自主開示規則(ソフトロー)の役割も増している。

 では、そもそも開示制度はどのような根拠に基づき、いかなる仕組みとなっているのか。弁護士や法務部・IR担当の方はさておき、それ以外の方々はこの点について、普段あまり考えることはないと思われる。金融商品取引所の自主開示規則についても、すべての個人投資家が十分に理解をしているとはいえないと思われる。

 IFRSなどの記事をご覧になる本サイトの読者の方々も、同制度がどのような法律上の根拠・背景に基づき制定されようとしているのかは知っておいた方がよいと思われる。そこで本連載では、開示の複雑化が進む今だからこそ、開示制度の基礎・背景に重点をおいた解説をすることとする。

 今回から3回にわたり、会社法、金融商品取引法を中心とする法律上の開示制度につき解説する。特に次回解説する金融商品取引法に関しては難解に感じる方も多いと思う。IFRSなどを学ぶにあたっても損はなく、制度の基礎知識であることから、お読みいただきたい。

 続いて、判例上、開示が問題となった事例や、東証の適時開示制度をはじめとする金融商品取引所による開示制度につき紹介することとする。

会社法上の開示

 法律上のいわゆる開示(ディスクロージャー)制度は、投資家に対する金融商品取引法に基づく開示が中心となると述べた。一方、会社法においても特定の利害関係者である出資者たる株主や資金の提供者たる債権者の権利行使保護の観点から、開示に関する制度を定めている。

 具体的には、以下のような開示の制度を定めている。

1. 株主の招集通知(会社法299条4項)

 取締役は、株主総会の2週間前(閉鎖会社は1週間前)までに、株主に対して招集通知を発する必要がある(299条1項)。招集通知には、株主総会の日時、開催場所、目的事項、書面投票を採用する場合にはその旨、電子投票を採用する場合にはその旨を記載する(同条4項)。その他、会社法施行規則に法定された事項を定めるとしている。

2. 株主総会参考書類および議決権行使書面の交付

 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることを定めた場合、株主総会の招集の通知に際して株主総会参考書類を交付する必要がある(301条)。

 株主総会参考書類は、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類である。具体的には、会社法施行規則で定められた議案、提案の理由などのほか、役員の選任を議題とする場合には、氏名、生年月日および略歴等が要求されるなど、各議案に応じて記載すべき内容が法定されている(会社法施行規則73条以下)。

 また、議決権行使書面は株主が議決権を行使するためのもので、書面投票による場合株主に交付されるものである(会社法301条1項)。議決権行使書面に記載すべき事項(各議案の賛否を記載する欄、行使期限など)についても施行規則に記載すべき内容が法定されている(会社法施行規則73条以下)。