PR

 利用者の使い勝手を重視した要件定義は、Webサイトなど不特定多数を対象にしたシステム作りにおいては、これまでも重要視されてきた。だが、組織として体系立てて取り組むみ出したのは最近のことである。上流工程で実施するために、アジャイル開発と組み合わせる動きもある。

 不特定多数の利用者を相手にするWebサイトなどでは、システムの使い勝手、すなわち「UX(ユーザーエクスペリエンス)」に対する意識は以前から高かった。情報システムを利用者が選択できる自由度と利用者の数で分類すると、Webサイトは自由度が高く、利用者数も多いシステムだからだ(図1)。これに対し社内システムは、その対局に位置するシステムだったといえる。

図1●利用者数とUX(ユーザーエクスペリエンス)の進展度の関係
図1●利用者数とUX(ユーザーエクスペリエンス)の進展度の関係
不特定多数が利用するシステムの領域ほど「UX」への取り組みが進んでいる
[画像のクリックで拡大表示]

社内もワンクリックが成否を分ける

 しかし、その社内システムにおいても、使い勝手は無視できなくなっている。雇用形態の多様化で、社内システムの利用者は正社員だけとは限らなくなったし、操作方法の教育にも多大なコストはかけられないからだ。

 並行して、受発注システムなどを多数の取引先と共用する仕組みが増えている。「ワンクリックの印象が悪ければ、すぐに立ち去られる」というWebサイト同様に、使い勝手を意識する必要性が高まっているわけだ。

 ただWebサイトの開発現場においても、日本でUXを全社レベルで体系立てて取り組み始めたのは最近のことである。例えばサイバーエージェントは2010から全社の仕組みとしてUX向上に注力しはじめた。

 具体的には、この8月に「アメーバブログ」のデザイン選択画面を刷新する際にUX向上を目標に掲げた。そこ生まれたのが、アイコンを画面の上部に目立たせる配置だ。その効果を確認できたこともあり、2010年中にはUXの専門家チームを組織し全社に普及させる計画だ。

 2010年4~6月の四半期で過去最高益を達成したディー・エヌ・エーもUX向上に余念がない会社の一つ。業績に大きく寄与している「怪盗ロワイヤル」というソーシャルゲームなどにおいては、週2回の会議でアクセスログを解析することで利用者の行動から課題を発見し、早ければその場でプログラムを修正して手を打つ。

 怪盗ロワイヤルは、2009年10月に開始したゲームだが、その会員数はすでに1000万人を超える。上級者から初心者までの会員を飽きさせないために、常に次の一手を考えているという。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
日経電子版セット今なら2カ月無料