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 日本企業の競争力を再活性化するためにはプラットフォーム戦略が必須だという声が高くなっている。ではプラットフォームとは何だろうか。

 本書によればプラットフォームとは「多くの関係するグループを載せることによって外部ネットワーク効果を創造し、新しい事業のエコシステムを創造する場」だという。これだけではいささか抽象的だが、続いてグーグル、アップル、アマゾン、楽天、任天堂などの成功企業を例に、その「場」が影響力を広げ利益を生む仕組みが詳しく解説されている。簡単に言えば、まず多くのユーザーにとって価値のあるサービスを作る必要があるということだ。

 そうして作った「場」がプラットフォームとして成功するために必要な価格戦略、多くの参加者を呼び込む方法などを、本書は「9つのフレームワーク」として解説する。またプラットフォーム参加者の視点から、勝ち組プラットフォームが「横暴化」する危険性への対処法、日本企業復活への処方箋などを示す。プラットフォームとは何かを勉強したい向きには、格好の1冊だ。著者の平野氏がNTTドコモで「おサイフケータイ」の成功に大きく貢献するなど、ビジネスの実体験が豊富な点が本書の大きな特徴だろう。

 プラットフォームの本質とその重要性が理解できれば、次はプラットフォームをどのように創造したらよいのかが問題になる。残念ながら、本書にはこの点に関する直接の分析が少ないように思う。

 シリコンバレーでは、プラットフォームとは「その上でプログラミングができるものすべて」ととらえられている。これが一つのヒントになるかもしれない。つまりOS、API、標準規格などはすべてプラットフォームだという考えである。プラットフォームの価値の源泉は、あくまでコンピュータプログラムだという「ハッカー至上主義」だ。

 プラットフォームの価値の源泉はどこにあるのか。この問題の本質に迫った、本書の続編が待たれる。

評者:滑川 海彦
千葉県生まれ。東京大学法学部卒業後、東京都庁勤務を経てIT評論家、翻訳者。TechCrunch 日本版(http://jp.techcrunch.com/)を翻訳中。
プラットフォーム戦略

プラットフォーム戦略
平野敦士カール/アンドレイ・ハギウ著
東洋経済新報社発行
1680円(税込)