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 総務省が2010年8月下旬に打ち出した電波再編方針(前回を参照)の中で、特に通信事業者が戦々恐々としているのが周波数オークション導入の検討だ。

 周波数オークションとは、周波数帯の事業免許を競売によって決める方式である。OECD(経済協力開発機構)加盟国の多くが周波数オークションに基づいて周波数の割り当てを行っている。しかし日本では、総務省が電波法に基づいて審査・認定し、周波数帯を割り当てている。周波数の枠以上に事業者が参入を希望した場合は、比較審査という手順を踏み、適合の度合いの高い事業者を選定している。現在のところ、周波数オークションは制度化されていない。

 周波数オークションについては、日本でもこれまで何度も議論が繰り返されたものの、いつも立ち消えになってきたという経緯がある。周波数オークションには、割り当てプロセスの透明性や入札による財源確保といった大きなメリットがある。しかしその一方で、事業者サイドからは入札額の高騰の恐れなどが指摘されてきた。役所の立場からしても、オークションの導入は許認可権という監督官庁の権限の一部を失う形になる。「省益を損なうために役所はオークション導入に本気ではなかった」という関係者の声も多い。

 そんな中、電波利用料制度の見直しを進めるために2010年4月に総務副大臣の下に立ち上がった「電波利用料制度に関する専門調査会」では、電波利用料の見直しのほか、周波数オークション導入についても再び議論の俎上に載せた。

 調査会で5月に開催された事業者ヒアリングでは、案の定、NTTドコモやソフトバンクモバイルなど携帯電話事業者各社が軒並みオークション導入に反対の姿勢を見せた。しかし8月30日に調査会がまとめた「基本方針」は、これまでとは様相が違った。慎重に言葉を選びながらも、「電波の公平かつ能率的な利用、免許手続きの透明性確保等の観点から、市場原理を活用するオークション導入は十分検討に値する」と前向きに検討していく方針を示したのだ。

跡地利用の事業者が移行費用を負担へ

 ここでポイントとなるのは、基本方針のオークションにかかわる項目に含まれた、「周波数再編の費用負担についても、市場原理の活用ができないか、検討を行うべき」という一文だ。前回紹介した「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討ワーキンググループ(WG)」の中間とりまとめと関連し、再編を促すための枠組みとしてオークション制度を念頭に置いているのである。

 周波数検討WGの中間とりまとめと調査会の基本方針を考え合わせると、周波数帯の再編を加速するオークションを含めた枠組みは図1のようになると予想される。

図1●再編を加速する仕組み
図1●再編を加速する仕組み
現在該当する周波数帯を利用する事業者の移行費用を、跡地利用を希望する事業者が負担することで再編を促す。複数の事業者が跡地利用を希望する場合は、オークション制度の導入も検討する。