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富士通 代表取締役社長 山本 正已氏
富士通 代表取締役社長
山本 正已氏

 ICTは社会やビジネスに浸透し、様々な形で活用されるようになった。その一方で、課題も浮かび上がっている。まず、システムの複雑化により維持管理の負荷が大きくなった。また、ITとビジネスの一体化により、システムを止められなくなっている。複雑なシステムを24時間365日休みなく動かすためには、大きなコストがかかる。

 日本企業のIT投資の内訳をみると、7割程度が保守運用に使われており、新規投資は3割程度にすぎない。企業の戦略投資を増やすためには、このような状況を変革する必要がある。その有効な手段がクラウドコンピューティングである。

 ただ、セキュリティやビジネスの継続などの点で、クラウドに対する懸念の声もある。そんな不安を払拭するため、富士通はコンピューティング技術やネットワーク技術、運用管理ノウハウなど総合力を結集し、ミッションクリティカルなビジネスにも対応できる「トラステッド・クラウド」を提供している。

高信頼のトラステッド・クラウドで企業のビジネスを強力にサポート

 富士通には、様々な強みがある。1つは、電子デバイスなどの技術と各種製品群、インフラサービス、ソリューションなどすべてのレイヤーをカバーする垂直統合である。幅広い製品ラインナップも強みの1つ。サーバーやストレージ、ネットワーク機器、ソフトウエアなどシステムプラットフォームを構成する製品に加え、携帯電話やモバイルウエア、パソコンなどを揃えている。この強みを生かしながら、信頼性が高く、柔軟性や機動性に優れたトラステッド・クラウドをお客様に提供し、パートナーとしてそのビジネスをしっかりと支え続けたい。

 現在、国内だけでなく、世界中でトラステッド・クラウドを展開中である。2010年度には日本と同じ品質のクラウドプラットフォームを、英国、豪州、シンガポール、ドイツ、米国に開設する。中国でも、現地企業と合弁でデータセンターを新設する予定だ。「Windows Azure」を富士通のデータセンターから世界に提供するという、先ごろ発表したマイクロソフトとの協業も、当社のクラウド戦略の柱である。お客様のグローバルビジネスを支えるうえで、この協業は大きな意味を持っている。

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知の創造や行動支援を担うヒューマンセントリックなICT

 ICTには、知の創造や行動支援という役割が期待されている。言い換えれば、「ヒューマンセントリックなICT」。社会の抱える多くの課題を解決するために、これが役立つ場面は多いはずだ。センサーや携帯端末など、現実世界の事象をデータ化する道具は急速に進化している。それらが集めた膨大なデータをICTの世界で受け止め、分析することで知恵を見い出す。その知恵、つまり人々の行動を支援する実践知を生かすことで、より豊かな社会を創造する。このようなインテリジェント・ソサエティの実現に貢献することが、富士通の中長期的なビジョンである。

 インテリジェント・ソサエティは、ITベンダーだけの力で実現できるものではない。様々な企業や行政機関との連携が不可欠だ。その具体例を、取り組みの中からいくつか紹介したい。

 例えば、車に搭載したセンサーを利用し、気象状況や道路の渋滞状況などの情報を収集・分析することで、渋滞の解消、エネルギーの利用効率向上、CO2削減という社会的課題の解決につなげることができる。また、富士通が宮崎県の新福青果とともに取り組んでいる農業のインテリジェント化の例である。ネットワークカメラで農場の様子を撮影し、センサーで土中温度や水分量などを計測して記録するような形で、ICTを生産性の向上に役立てている。このほか、健康増進に関する事例もある。これは企業向けのサービスで、対象となる社員の体重や血圧、食事内容などをネットワーク経由で収集し、医療機関と提携して健康アドバイスをするというもの。現在、200社が利用している。

インテリジェントな社会に必要な高度なコンピューティング能力

 社会的なリスク対応のためのICT活用も重要だ。新型インフルエンザの情報収集・分析をはじめ、橋梁などの社会インフラの保全、環境汚染の管理といった分野で、クラウドが役立つ。また、発電や配電の最適化を期待されているスマートグリッドでも、ICTは主要な役割を担っている。

 インテリジェント・ソサエティを実現するためには、ICTの高度な利活用とともに、ハイパフォーマンスコンピューティングも欠かせない。富士通は現在、理化学研究所と共同で次世代スーパーコンピュータの開発を進めている。津波が都市に押し寄せる様子や臓器の動きを再現するシミュレーション映像を作成するには、高度なコンピューティング能力が必要だ。その精度を高めることで、災害対策や医療技術向上のための知恵を獲得できる。

 こうした知恵を業界横断的な価値の連鎖に組み込むことで、インテリジェントな社会を引き寄せることができる。そんな将来の実現に向けた取り組みを、今後ますます強化したい。