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日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 専務執行役員 コンサルティング&システムインテグレーション統括 椎木 茂氏
日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 専務執行役員 コンサルティング&システムインテグレーション統括
椎木 茂氏

 世界における日本の存在感が揺らいでいる。日本の経済的地位は、1人当たりのGDPで比較すると、2000年度に3位だったのが今では17位に落ち込んだ。それに伴って、世界のGDPに占める日本のシェアは10年前の14.5%から8.5%に下がった。代わりに10年前に3.7%にすぎなかった中国のシェアは8.7%になる勢いで、GDPは今年中に確実に中国に逆転されてしまうだろう。

 所得分配による内需拡大を期待する声もあるが、国内市場だけで成長を望めないのが現状だ。最近のデータでは、仏、独、伊、米、日本の先進5カ国の中で日本の家計貯蓄率は最低だ。一方で、企業が収益の中から労働者に賃金として支払う割合(労働分配率)を比べると、日本は上位にいる。企業は相応の賃金を払っているのに労働者はそれを貯蓄に回せない状況にある。日本全体の「パイ」が拡大しない中で、内需だけでは企業の成長は望めない。

グローバル統合モデルで八方ふさがりから脱出を

 では、八方ふさがりの中で日本企業はどうすべきか。成長のためには、今後、グローバル化が重要な戦略になるのだから、グローバル全体をワンカンパニーとして捉え、グローバル統合モデルを前提とした業務プロセス、システムの設計を進めることが必須になるだろう。

 具体的には、GIE(Globally Integrated Enterprise=グローバルに統合された企業)に向けて大きく変わる必要があるだろう。GIEとは、国を超えた間接部門の機能化、業務最適化によるコスト削減の徹底を図るとともに、グローバルレベルで情報を一元化してビジネス環境の変化に素早く対応できる企業である。GIEでは、未来を予測する力を強化する新次元のインテリジェンス(Business Analytics)も必須になるし、ビジネスのスピード向上やIT基盤共有による新規ビジネスモデルの支援、運用コスト削減に役立つクラウドコンピューティングも変革を実現するための基盤として不可欠になるだろう。

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 GIEが注目を集める背景には、企業のグローバル化モデルの変遷がある。20世紀までは国内で生産し、海外市場に輸出するインターナショナルの時代だったが、海外に進出してそれぞれの製造拠点で生産・販売するマルチナショナルの時代を経て、今や本社や工場、企業の各機能を担う部署は最も適した地域にあればいいという地球規模で最適化を図るグローバルの時代に突入しつつある。

 インターナショナルの時代では、日本にある本社(HQ)で設計し、日本国内で生産した製品を世界各国で販売するという輸出型モデルが威力を発揮した。まさに日本が成長の原動力となったモデルである。

 マルチナショナルの時代では、それぞれの地域のニーズに応じた製品を設計し、地域ごとに生産・販売する多国籍モデルが効果的だった。本社がある日本は計画を立案するが、研究・開発、調達、生産、販売はそれぞれの地域が担当する。先進的な日本企業が1990年代後半から取り組んできたモデルだ。

 この多国籍モデルでは、国ごとにあるいは地域ごとにそれぞれ別のシステムを構築してきた。本社から要求があれば、それに従って情報を加工して提供した。もっとも、このモデルだと商品コードや勘定コードなどがバラバラになっているので、統合する際には時間を要してしまう。

 これに対し、グローバルの時代では計画、研究・開発、調達、生産、販売といった機能をグローバルレベルで最適な場所に配置するグローバル統合モデルの構築が不可欠だ。地球規模での最適化を図り、「ワンセンター、ワンインスタンス、ワンシステム」の仕組みを構築しなければならない。それが実現できれば、本社がどの国や地域にあってもかまわないし、組織変更や人事異動にとどまらずビジネスモデルの変更も容易に対応できるようになる。

ITを駆使してグローバル化、最も適した地域で事業を推進

 IBMはITを駆使してグローバルで統一されたシステムを作り上げ、地球規模での最適化に取り組んできた。ワンセンター、ワンインスタンス、ワンシステムになったからこそ、経営判断が迅速になり、ビジネスモデルを変えてインドや中国にも迅速に進出できた。

 とはいえ、1990年代のIBMはGIEではなかった。90年代はサプライチェーンは地域ごとに構築し、調達は全世界300カ所で実施していた。販売や経理、人事といった各部門も地域ごとにあった。それが現在では一連の仕組みをグローバルで1つないしは少数に統一し、IBM全体で40万人分の事務処理はそれを得意とする地域の大規模なセンターで実行している。

 グローバル化が加速する中で、日本企業は国内だけでなく海外も含めたビジネスモデル全体を一体と考えることによって、生き残ることができる。IBMはこれまでの経験を生かし、グローバルで統一されたサービスプロバイダとして日本企業のグローバル化に貢献できると確信する。