PR

 この9月は政界に大きな動きがあり、そしてそれがIT業界にも大きく影響を及ぼしそうだ。キーワードは、次の4つだ。

  • 概算要求
  • 民主党代表選と菅改造内閣誕生
  • 補正予算
  • 尖閣諸島問題

 これらがどのように新IT戦略やICT関連予算に影響するかを解説したい。

 まずは来年度概算要求。8月末に締め切られた来年度一般会計の概算要求の内容が、9月になって公表された。総額96.7兆円と、過去最大だった本年度の92.3兆円を4.4兆円も上回る巨大予算案となっている。

 各省庁は、概算要求基準(シーリング)通りに、一般的な政策経費をきっちりと1割削減し、その代わりに「日本を元気にする特別枠」に2.9兆円を要求した。これは当初、「1兆円を相当額上回る」範囲とされていたのだが、結果としてここまで膨らんだ形だ。特別枠を含め、ICT関連予算は、本年度より積極的に要求されている。

 傾向としては、既存システム関連予算を縮減し、新成長戦略(新IT戦略はその重要要素)に資する予算を、大幅に入れ込んだ形となっている。例えば、財務省の予算は表1のように、既存システムに対して-7%と、シーリングに近い1割程度の削減だ。同様の傾向は、外務省、会計検査院、法務省など直接的に新成長戦略に寄与しない省庁にも見られる。

表1●財務省のICT関連予算(単位:億円)
表1●財務省のICT関連予算(単位:億円)

 一方、新IT戦略、新成長戦略の重要項目を担う総務省と経済産業省の予算は、総務省が約3割、経済産業省が倍増以上と非常に積極的だ(既存システム経費を除いて抜粋しているので、より積極的に見える)。額は少ないが、経済産業省の積極性が目立つ。同省は昨年の麻生政権時に作られた第一次補正予算でクラウドを中心に大幅に入れ込んだが、政権交代でバッサリと削減された経緯がある。いわば逆襲に転じた格好だ。

 新成長戦略がらみの増加傾向は、科学技術や教育の高度化を担う文部科学省や、年金・医療を担う厚生労働省にも見られる。

表2●総務省と経済産業省の概算要求ICT関連主要項目抜粋(単位:億円)
表2●総務省と経済産業省の概算要求ICT関連主要項目抜粋(単位:億円)
[画像のクリックで拡大表示]

 つまり、7月の参院選挙に向けて政府・民主党が策定した「新IT戦略」、「新成長戦略」は、民主党の惨敗という結果を受けても、着実に予算に反映されていると見てよいだろう。