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前回は、各個人の個性に基づき人が持つ機能を延伸・増幅する新しい科学技術を「マイテクノロジー」と呼び、その代表例として「テレハプティクス」を取り上げた。ハプティクスとは力覚情報や触覚情報のことで、テレハプティクスとはハプティクスを遠距離間でやり取りすることである。今回は、テレハプティクスなどのマイテクノロジーが産業に及ぼす影響を考えてみよう。


大西 公平/慶應義塾大学教授
下野 誠通/横浜国立大学助教
名取 賢二/青山学院大学助教

 第一次~第三次までの産業分野のなかで、現状においてITが最も浸透していないと考えられるのが、農林水産業を中心とする第一次産業だろう。第二次および第三次産業では、ITが不可欠であるのに比べ、対照的だ。

農林水産業の姿が変わる

 第一次産業にITが浸透しない原因の一つとして考えられるのが、従事者の年齢層の高さである。逆にITを中心とした先端技術の導入が遅れているため、従事者の若年層人口が減少しているとも考えられる。これらを背景に、食料自給率の低下や産業規模の縮小が問題になっている。

 将来、ハプティクス/テレハプティクスが発展し、第一次産業に最先端のITを導入すれば、農林水産業の姿を大きく変えることが期待できる(図1)。

図1●第一次産業の姿が最先端テクノロジーによって変わっていく
図1●第一次産業の姿が最先端テクノロジーによって変わっていく
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 具体的には、太陽光などの再生可能エネルギーを利用したエネルギー供給や、ワイヤレス通信による情報共有、ハプティクス技術による篤農家の技術のロボットでの再現など、個々の要求に応じた最先端技術が結集していく。生産性向上と安定供給に基づく食料自給率の高まりや、従事者の高齢化・減少を補う労働力の確保が実現される。