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◆今回の注目NEWS◆

4月を目途に情報通信技術基本戦略を決定へ(首相官邸、3月19日)

【ニュースの概要】 政府は、3月19日に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の会合を開催し、国民主権の社会を確立するために4月をめどに新たな基本戦略を決定することを明らかにした。


◆このNEWSのツボ◆

 政府は、3月19日に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の会合を開催し、4月をめどに新たな基本戦略を決定することを明らかにした。

 この新戦略の基本的な考え方は、「過去のIT戦略の延長線上にあるのではなく、新たな国民主権の社会を確立するための、非連続な飛躍を支える重点戦略(3本柱)に絞り込んだ戦略とする」とのことである。

 政権交代を強く意識した目的設定となっているが、それでは、この新たな3本柱とは何かと言えば、
(1)国民本位の電子行政(国民が監視・コントロールできる公平で利便性が高い電子行政を、無駄を省き効率的に実現するための目標年限を設定)
(2)医療や介護、教育などの分野での情報通信技術の活用とすべての世帯でブロードバンド利用を可能とする「光の道」の実現による地域の絆(きずな)の再生
(3)クラウドコンピューティングなどの新技術の導入と利活用を通じた新市場の創出と国際展開
ということである。

 具体的には、24時間利用可能なオンライン電子行政手続きの開始、政府CIOの設置、全国をつなぐ医療ネットワークの構築、スマートグリッドの推進やクラウドコンピューティングの利活用の推進が掲げられている。

 正直に言えば、3本柱も、また個別の政策目標も、以前から取り上げられていた政策が多い。「従来の延長線上にない」のかどうかは判然としない。しかし、個別にみると、「社会保障・税共通の番号制度の導入」「インターネットを利用した選挙活動を実現」「『KIDSネット』構想の推進」など、新味のある構想も盛り込まれている。(参考)。

 内容が、あまりに盛りだくさんであるため、総花的に終わる可能性も否定はできない。しかし、5月までという短期間で構想をとりまとめるとのことであるから、戦略全体の具体像が示されるのも遠い話ではないだろう。

 全体の戦略については目標年限や達成すべき水準についての数値をできるだけ明らかにするとのことなので、願わくば、それぞれの個別の政策についても、政策実現のスピード(目標とする年限)と達成すべき水準や、それに要するコストと財源の捻出(ねんしゅつ)方法なども併せて示してほしい。

 昨年来、「約束はしたが財源がない」といった論争の結果、マニフェスト(政権公約)に掲げた政策が迷走しているケースも多い。今回の骨子に掲げられた政策は、いずれも「それなりの財政的・行政的コスト」が必要なものが多く、実現するためには、そのためのコスト捻出の方法も併せて検討されなければ、「絵に描いたもち」を増やすだけに終わるのではないか・・との危惧が払しょくできない。

安延 申(やすのべ・しん)
フューチャーアーキテクト社長/COO,
スタンフォード日本センター理事
安延申

通商産業省(現 経済産業省)に勤務後,コンサルティング会社ヤス・クリエイトを興す。現在はフューチャーアーキテクト社長/COO,スタンフォード日本センター理事など,政策支援から経営やIT戦略のコンサルティングまで幅広い領域で活動する。