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 IT分野で働く人々にとって、IFRS(国際会計基準)は分かりにくい分野。まして、その現場で何が行われているかというと、ピンとこない。

 東京ビッグサイトで開催したITpro EXPO 2010では、IFRSに取り組むユーザー企業やベンダーの動きを追うメディアを越えた専門記者二人の対談が実現した。題して「専門記者が明かす『IFRS対応の現場』」。展示会2日目の2010年10月19日、メインシアターで実施した。

写真1●アイティメディア IFRS 国際会計基準フォーラム 編集担当の垣内郁栄氏
写真1●アイティメディア IFRS 国際会計基準フォーラム 編集担当の垣内郁栄氏
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写真2●日経情報ストラテジー/日経コンピュータの島田優子記者
写真2●日経情報ストラテジー/日経コンピュータの島田優子記者
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 対談したのは、アイティメディア IFRS 国際会計基準フォーラム 編集担当の垣内郁栄氏(写真1)と日経情報ストラテジー/日経コンピュータの島田優子記者(写真2)。垣内氏はIFRS 国際会計基準フォーラムERP & IFRSなどのサイトを担当している。島田記者はITproのIFRSサイトのほか日経コンピュータ日経情報ストラテジー、ムック「国際会計基準IFRS完全ガイド 2011」などを担当している。ITproの田中淳副編集長がモデレータを務めた。

動きが本格化するユーザー企業、ベンダーは打開策を模索

 周知の通り、日本でのIFRS強制適用(アドプション)の可否が決まるのは2012年、適用が決まった場合の実施時期は早くて2015年か2016年と、まだ先の話である。そんな状況のなか、日本でIFRSは“盛り上がり”を見せているのだろうか。

 垣内氏はユーザー企業の視点から、「十分に盛り上がっている」とみる。「すでに、ほとんどの大企業で何らかのプロジェクトが始まっている。自社の経営課題としてIFRSを取り上げ、人員と予算を確保するという動きが本格化したのが2010年だ」と分析する。

 「IFRSに対応する企業は大きく2種類に分類できる」と垣内氏は続ける。まず、IFRSの早期適用を目指す企業。もう一つは強制適用時点での適用を目指す企業だ。前者は「IFRSに対応するだけではなく、全社のグローバル戦略を見直し、ERP(統合基幹業務システム)を含めて経営管理の運用方法を変えていこうとしている」と垣内氏は指摘する。

 これに対し、島田記者はベンダー側について「盛り上がろうと思っているのに盛り上がれないという感じだ」と語る。今年4月ころに関連製品やサービスが次々に登場し、10月ころにまた新たな発表が相次いだ。ところが10月に登場した製品やサービスは、半年前に発表されたものとあまり変わっていない。「盛り上げようと思っても、打開策が見つからないというのがベンダーの実情ではないか」と島田記者はみる。

 垣内氏は、ベンダーにとって「2011年が一つのポイントになる」と指摘する。IFRSと日本の会計基準とのコンバージェンス(収れん)がひと通り完了し、IFRSの策定元であるIASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)による共同プロジェクトに一定のめどが見える。「ベンダー各社は、そこに照準を合わせて戦略を練っている。すでに発表したソリューション構想が形となって現れるのが2011年もしくは2012年だろう」と垣内氏はみる。