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森林 正彰/NTTヨーロッパ

 「あっ、またやってしまった---」。深いラフにボールが吸い込まれる。英国のリンクスタイプのゴルフ場で、ティーショットを曲げてラフに入ると大変に厄介である。コースの特徴を頭に入れ戦略的にゴルフをしないと良いスコアにつながらない。頭では分かっていてもつい同じ失敗を繰り返してしまう。こんなコースに応じたゴルフのプレー(コースマネジメント)は、欧州の各地域の国民性に応じた社員マネジメントに通じるものがある。

責任範囲以外の仕事に抵抗感

 米国に始まり、日本、香港、欧州(ロンドン)。この10年間で世界4カ所での業務を経験し、様々な国の人たちとビジネスそしてプライベートで接してきた。当然ながら、各国における従業員の仕事ぶりやマネジメントの仕方にはそれぞれ違いがある。特に欧州は狭いエリアに多数の国が存在することから思った以上に文化や習慣、考え方が異なる人に多く出会う。この点が欧州におけるマネジメントの難しさの一つであろう。

 例えば、日本と欧州では仕事に対する取り組み方に大きな違いがある。日本は、どちらかといえばゼネラリスト志向が強く、必要に応じて本来の自分の仕事以外でもこなすのが当たり前だ。しかし欧州ではそうはいかない。役割を明確にしてスペシャリストを目指すのが一般的である。自分の責任範囲以外の仕事をすることに対しては強い抵抗を示すのだ。

 また欧州ではワークライフバランスを重視する。時間外労働は日本に比べると極端に少ない。どちらが良い悪いではなく、バックグラウンド、宗教、慣習、文化の違いを理解し、うまく人を使っていくことが欧州でのマネジメントの重要なポイントである。

 顧客対応の仕方にも明確な違いがある。様々な国を経験したが、やはり日本のサービス品質はナンバーワンである。顧客から期待されるレベルも高いし、提供する側のサービスレベルも高い。どこの国であっても、良いサービスを安く提供する会社があれば、必ず勝てるはずである。あるいは多少高くても、それだけの価値が認められれば使ってもらえるだろう。

 通信あるいはICTの分野で、「日本品質=最高品質」のサービスを提供し、その価値を理解してもらえるか。そして、我々自身も利益を出せるか。我々が海外でビジネスするにあたって必ず越えなければいけない壁である。

 本当にゴルフのうまい人は、世界中どこのコースでプレーしても、良いスコアを出せる。結局、良いスコアを出せるかどうかは環境ではなく自らの腕である。ゴルフでも仕事でも与えられた環境に合わせたマネジメントを行い、高いレベルのスコア(サービス)を提供することが目下の私の目標である。

森林 正彰(もりばやし まさあき)
NTTコミュニケーションズの欧州現地法人であるNTTヨーロッパ社長。前職の香港では、「これからは中国市場!」と意欲を燃やしたが、今は気持ちを切り替え「逆風の欧州で大成功!」と執念を燃やしている。学生時代はハンドボール、今はゴルフ、テニス、スキーを楽しむアウトドア派。モットーは「楽観的に肯定的に前向きに」。