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 商品・サービスの値決めは、いかなる企業にとっても重要な業務だ。「価格の決め方次第で、粗利を1~3%改善できるという調査結果が出ている」とアクセンチュアの中西正財務・経営管理グループ統括パートナーは話す。

 重要な業務だからといって、現場に多種多様なデータを提供する必要などない。価格決定の担当者はその道のプロ。ほんの数種類のデータを提供すれば十分だ。

参考情報を三つに絞るガリバー

 中古車販売大手のガリバーインターナショナルの本社。パソコンの画面には、同社が買い取ったミニバンの情報が映っている。中古車1台ごとに、販売価格を担当者が決めているのだ(図1)。

図1●中古車の販売価格を決めるガリバーインターナショナルの現場風景
図1●中古車の販売価格を決めるガリバーインターナショナルの現場風景
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 パソコンの画面には、そのミニバンの販売価格の目安として、システムが計算した「推奨販売価格」が表示してある。担当者はその価格を参考にしながら、値段を付ける。

 値付け作業のスピードは速い。作業は1台につき10分弱だ。担当者は次々に価格を決めていく。担当者は4人。1人当たり1日60台値付けする計算である。

 中古車には、全く同じ条件の商品が存在しない。製造時期、走行距離、車体の色、カーナビゲーションといった装備の有無など、様々な条件を勘案しながら価格を決めなければならない。

 「中古車の販売価格は多くの要因がからみ合って決まる。システムで必要な情報を瞬時に提示して、価格決定の担当者を迷わせない」。ガリバーインターナショナルの阿部直揮販売価格戦略セクションリーダーは述べる。

 複雑な業務を支援するシステムだけに、システムも複雑と考えている読者が多いかもしれない。

 だが、担当者は専門家なので、表示するデータ項目は3種類とシンプルだ。「推奨価格」「類似車種の販売価格」「店頭での推奨販売期間」である。これだけで十分に、現場に役立つシステムになる。「様々な種類の情報を表示しても見るべきポイントは決まっている。最小限の情報を提示する」。阿部リーダーはこう話す。

 推奨価格とは、類似した条件の同じ車種の平均販売価格である。この価格を基に決めてしまうこともある。もし、担当者が中古車の程度や装備品などに応じて、より細かなパターンで過去の販売価格を知りたい場合、類似車種の販売価格を検索できる。

裏側にノウハウを詰める

 最後に担当者は、店頭に在庫として保有しておく期間を決めなければならない。同社は中古車の在庫を長くても14日間程度しか保持せず、それ以降はオークションに卸す。ただし例外がある。人気の高い車種は、販売期間を延ばして店頭販売する。オークションに出すよりも中古車として自社で販売したほうが、利益率が高いからだ。

 店頭で販売する期間についても、担当者は迷わずにすむ。システムが販売期間の推奨日数を表示するからだ。

 このように、担当者に表示するデータはシンプルだが、その分システムには、同社のノウハウが詰まっている。例えば、推奨価格の算出方法がそうだ。

 軽自動車であれば、製造時期と走行距離の2種類の値が近いデータを集め、平均販売価格を担当者に提示する。軽自動車の中古車の価格を左右する要因が、製造時期と走行距離だからだ。ミニバンの場合は、本体のカラーやカーナビゲーションの型式などを加味して推奨価格を出す。

 「中古価格を決定付ける要素は車種によって違う。このことを踏まえて、車種に応じて、推奨価格の算出方法を変えている。ここは当社のノウハウで、他社には公表できない」。阿部リーダーはこう自信を見せる。