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福田 浩喜/KDDIベトナム

 千年に一度のお祭り---。そんな貴重な体験をされたことはあるだろうか。ここベトナムの首都ハノイでは、2010年10月10日が建都1000周年ということで、10月1日から10日まで連日連夜お祭りが盛大に行われた。何しろ1000年に一度の祭典ということで誰も経験したことがなく、市民のボルテージは最高潮に達した。

 一方私は、赴任1年目にして、この1000年に一度のイベントを体験でき、これはわが社にとっても何か良い事が起こる前兆ではないかと強く確信している。

 赴任して感じたことは、「YES」としか言わないベトナム人が多いことだ。例えばレストランで、これは美味しいですかと聞くと「YES」、逆にこれはまずいですかと聞いても「YES」。どうもベトリッシュ(ベトナム人の英語)の世界では、困ったときは「YES」という習性があるように思う。

 ベトナム人は、見た目においては我々と共通点が多く、安心感がある。だから表面的にはとてもスムーズにベトナム社会に溶け込めるような気がするのだが、ベトリッシュの「YES」のように、実際のビジネス上では大きなベクトルの違いを感じてしまうことが多々ある。

 しかし、彼らの日本人に勝るとも劣らない真面目な気質はとても頼もしい。万国共通で通信事業者が最も苦労することの一つに、ローカル回線の引き込み作業がある。グローバル化された現代でも、この部分だけはローカルでの地道な対応が肝となり、なかなか思い通りにはいかない。

 ベトナムも同様の苦労を抱えるが、現場の人間とは同じ問題意識を共有でき、また、人情的なコミュニケーションも威力を発揮し、一生懸命に、粘り強く、そして楽しく回線引き込み作業に付き合ってくれる。

通信自由化でさらなる発展を

 ベトナムは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の中で地理的に中心に位置し、水陸のアクセスの良さから通信のみならず他産業界でもハブとなり得る国だ。そのためには、通信の自由化が重要となる。サービスの質は、競争があって初めて向上するからだ。

 世界貿易機関(WTO)との約束で将来は通信を自由化することになっており、最近になって2012年という具体的な噂も出てきている。我々としても、JBAV(日本ベトナム商工会)の日越共同イニシアチブなどを通じて、地道に自由化を求めていく。

 ハノイ建都1000周年、そしてKDDIベトナム現法設立10周年を迎える節目の年に、我々もベトナムにグローバルスタンダードのデータセンター「TELEHOUSE Hanoi」を開業した。今後ベトナムをアジアの新しいハブとしていきたい。

福田 浩喜(ふくだ ひろき)
2009年10月からKDDIベトナム社長を務める。ハノイ在住。かつては10年以上ニューヨーク駐在経験があり、帰国の際は「I shall return」と米国を離れたが、2回目の駐在先は縁もゆかりもないベトナム。しかし1年たった今では、すっかりベトナムの魅力に取りつかれてしまい、定年後は“ベトナム嘱託社員”を夢見る48歳。