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NTTコムウェア 標 千枝

 昨年シリコンバレーに赴任し、環境に対する日米の意識の違いに驚いた。ごみの分別がほとんど無い。道路には真っ黒な排気ガスを出す大型自動車がひしめいている。ここでの「グリーン」な取り組みといえば、外食の残りを持ち帰るドギーバック文化くらいのものなのでは、と思ったほどであった。

 ところが、米国は一方でグリーンビジネスの先進国でもある。国の政策を見ると、オバマ政権はグリーンニューディール政策を掲げ、再生可能エネルギーへの1500億ドルの投資を決めている。米景気対策法(ARRA)にも、クリーンエネルギーや省エネルギーへの407億ドルもの投資が含まれており、グリーン分野に大きな期待を寄せている。民間でも、電気自動車で世界的に有名なテスラ・モーターズをはじめとして、特にここシリコンバレー発の本分野におけるベンチャー企業の発展は著しい。

 ごみを分別する国民からエネルギー効率を追求する企業まで、国を挙げて環境対策に取り組む日本とは違い、生活は生活、ビジネスはビジネスと切り離して考えるところが米国らしい。もちろん環境テロのような極端な例外も米国にはあるが、総じて言えば米国人にとってのグリーンとは、ビジネス創出のためのキーワードなのである。ブッシュ政権時に米国が京都議定書を離脱したのは産業界へのダメージを危惧したためだし、反対にオバマ政権がグリーンに傾注してきたのも産業再生の道具として有効だと判断したからである。

 そうしたグリーンに対する米国人の感覚を肌で感じられるイベントに、先日参加してきた。「Opportunity Green」が主催する「Green Business Confrerence」は、2007年から始まり今回で4回目となる。その目的は「グリーンのトレンドを知り、利益と人と環境が相互作用する社会に向けて準備する」ことだという。ロサンゼルス商工会議所、ロサンゼルス市議、グリーンの取り組みによる企業価値向上を考える会社(コカ・コーラ、パタゴニアなど)、グリーンプロダクトを製造する企業(BMW、ベンチャー各社)、エネルギー関連企業(PG&Eなど)、グリーン推進団体(1% FOR THE PLANETなど)、アートカレッジなどが出展・講演していた。

 来場者は、多方面の業界から来ているようで、グリーン製品の導入を検討している人、グリーン団体への参画を考えている人、グリーンの取り組みを参考にしたり情報を得たい人などだった。日本の環境イベントであれば、現在の地球環境の状況の深刻さから企業の環境対策や参加者の日ごろの取り組みの啓蒙が行われそうなものだが、ここではごみで作ったアート作品を展示したり、面白グリーンベンチャーのコンペを行ったりするなど、その姿勢は明るく、楽しく、あっけらかんとしていたのが印象的だった。このあたりがグリーンに対する米国市民の素直な感覚なのだろう。

 大企業もまた、自社の積極的なグリーンに対する取り組みをアピールすることに余念がないようだった。コカコーラはグリーンな素材を作ったり、社員が緑化活動やクリーン運動に参画する様子を紹介したりしていた。パタゴニアは環境保護団体に参画して売り上げの一部を納めていた。BMWは電気自動車を展示し、それについて講演を行った。