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 読者の皆さんお久しぶりです。筆者は11月に行われた福岡市長選挙に立候補し、残念ですが敗れました。12月から福岡を拠点にして活動を再開したところです。

やはりICT改革は自治体が先行するしかない

 連載第13回の最後に「これからICTに通じた若い首長が続々と登場してくる可能性もある。思わぬところで、すごい実例が飛び出すこともあり得るのではと期待している」と書きましたが、自分が実例を作ろうと思ったことも立候補の一つの理由でした。

 というのも2010年3月の原口前総務大臣の韓国視察など、韓国の進んだICTの視察に行く人は増えましたが、依然としてその差は埋まりません。徹底的に自治体のITを変えたところも出てきません。それなら、自分で実例を作ろうという気持ちもありました。福岡市のICT予算を半減させ、県内のシステムの合理化の音頭をとろうと思っていたのですが。

 さて、私は、原口前総務大臣のご指名で、2009年10月に発足した「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」に参加させていただきました。私は「地球的課題検討部会」に参加しましたが、夢のあるICT政策を立案してほしいというのがテーマでした。しかし、世界レベルで見ると、日本の行政関係のICTのレベルは決して高くはありません。

 そこで、まずこの10年間に進まなかった原因を分析するべきだと発言しました。例えば、総務省の住基カードの発行事業ですが、発行枚数はまったく増えません。大失策です。民間なら、処分を受けるでしょうが、この政策を立案した識者も総務省の幹部もだれも反省もしないし、責任も取っていません。

 民主党の新たな情報通信技術戦略の骨子では、これまでの政策を分析して教訓を見いだすことの重要性に触れています。なぜ、医療のIT化にしても、電子行政にしても、この10年で大きな進歩がなかったのか。このことについて原因を分析しなければ、これからの10年もやはり同じことの繰り返しになるのではないかとの思いでした。

 しかし、この発言には賛成はいただけませんでした。考えてみれば当たり前で、多くの識者はこれまで政府のICT政策の立案に深くかかわってきた人です。政策の方向を大きく変えようと思うならば、まずは、委員会の人選を大幅に変えるべきだったかと思います。現場がわかっていて政府の方針を平気で批判できる人間を過半数は投入する必要があったのではないでしょうか。

 そして、2010年秋には原口総務大臣が交代し、ICTに通じていた内藤副大臣もいなくなりました。「光の道構想」や「オープンID」の検討委員会など多くの検討が行われました。私も大変に期待していました。政治力で日本のICTが変わるかもしれないと。しかし、結果はご覧のとおり。なんだか尻切れトンボで終わった感があります。クラウドにしても自治体のシステムの統合にしても、これまでの役人の路線の延長になりそうです。

 原口大臣が、来年度(平成23年度)政府予算案が決定される前に退任を余儀なくされたことは、ご本人もとても残念だったことと思います。原口大臣の退任の件では、大臣や副大臣が短期間で交代する弊害を改めて感じました。この点では自治体の首長は当選すると4年間は交代しないので、やはりICT改革は自治体が先行するしかないと改めて思いました。