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 米Red Hat社が支援しているLinuxディストリビューションの新版「Fedora 14」(コード名:Laughlin)が2010年11月2日にリリースされた。派手な変更はなく、開発者向けの新機能が目立つ。

 Fedora 14の主要な改善点の多くは開発者向けの機能であり、エンドユーザー向けに派手な変更が加えられていない(写真1)。これは、年内に商用Linuxディストリビューションの新版「Red Hat Enterprise Linux(RHEL) 6」のリリースを控えていること、その次期版であるRHEL 7の方向性が2010年10月下旬時点でも定まっておらず、先行開発版に当たるFedora 14に追加された機能が少ないためだ。

写真1 Fedora 14
写真1 Fedora 14
標準のデスクトップ環境にGNOME 2.32を採用するディストリビューション。写真はベータ版。
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 しかしながら、開発者の視点で見れば大きな変更が含まれており、重要なリリースと位置付けられる。

EclipseのLinux開発機能が強化

 Fedora 14には、統合開発環境「Eclipse」の2010年バージョンである「Helios」が導入された。Heliosは、39のプロジェクトと3300万行のソースコードからなり、プロジェクトの一つにはLinux用ソフトウエア開発支援ツール「Linux Tools Project」も含まれる。これは、Linuxでのバイナリービルドで一般的に用いられる「GNU Autotools」や、C/C++開発でメモリーデバッグに用いる「Valgrind」、プロファイリング用の「Oprofile」、動作中のLinuxカーネルやユーザープロセスを探査する「SystemTap」といったLinuxネイティブの開発ツールを、Eclipseに統合するものだ。

 RPMパッケージを作成するのに必要なSPECファイルのエディタも統合され、Eclipse上でのRPMパッケージ作成も容易となった。加えて、PHPの開発ツールやC/C++開発ツールなども大きく改良されている。

 もう一つの統合開発環境「NetBeans」のバージョン6.9も同こんされた。プロジェクト管理ツール「Maven」によるOSGiバンドルの開発が可能になり、NetBeansプラットフォームのアプリケーションでのOSGi互換性が改善された。JavaFXの GUIアプリケーションを作成するためのJavaFXコンポーザーも追加され、JavaFX 1.3をサポートするようになった。NetBeansといえば、Javaの統合開発環境のイメージが強かったが、同バージョンでは、PHPのZendフレームワークやRuby on Rails 3の他言語もサポートする。

 統合開発環境の「GNUstep」もFedora 14から利用できるようになった。GNUstepは、旧米NeXT Software社のOS「OPENSTEP」に端を発する、米Apple社のMac OS Xの開発フレームワーク「Cocoa」のオープンな実装を目指したもの。Mac OS XやiPhone(iPad)で動作するiOSの普及で注目を集める開発言語「Objective-C」を扱える*1。Apple社のGUI開発ツール「InterfaceBuilder」に相当する「Gorm」や統合開発環境「Xcode」に相当する「ProjectCenter」などを提供する。

デバッガも改良

 デバッガ「gdb」(The GNU Project Debugger)にも大きな改善が加えられた。効率的な「DWARF」のインデックスと使い物になるインデックスを含む「.debug」ファイルが欠如しているため、gdbの起動が遅い問題が部分的ではあるが解決された。これによって、例えば「$ gdb gdb」を実行した際の起動時間は、10分の1になるという。

 また、プログラムやライブラリによって動的に確保されたメモリーをデバッグする「gdb-heap」パッケージが追加された。このパッケージは、gdbにおいてheapコマンドを提供し、プロセスが大量のメモリーを予期せず利用する場合に、そのメモリーをgdbにアタッチできるようになる。