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 ソーシャルメディア・マネジャー、ソーシャルコマース、ソーシャルグラフ――。いずれもここ数カ月、『日経情報ストラテジー』の連載コラム「3分間キーワード」で取り上げた最新用語だ。やや氾濫気味のきらいもあるが、ソーシャルを頭に付けたキーワードがこのところ、企業の経営にも関係するようになってきたことを示している。

 ミクシィやFacebook(フェイスブック)、Twitter(ツイッター)、YouTube(ユーチューブ)などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が個人の生活に浸透するにつれて、その技術や機能を企業でも活用する動きが活発になってきた。本誌は2010年12月29日発売の最新号(2011年2月号)で「2011年 経営を変える7つのキーワード」と題した特集を掲載した。この中でも、「エンタープライズ・ソーシャルテクノロジー」をキーワードの1つとして取り上げている。

 エンタープライズ・ソーシャルテクノロジーとは、インターネット上で不特定多数の人同士が交流したり、情報共有したりするための技術と機能を企業活動にも応用しようというもの。例えば、SNSの会員同士が交流の手がかりとしているプロフィール機能や、会員の人間関係を図式化したソーシャルグラフ、Twitterなど短文のつぶやきを書き込むマイクロブログ、GPS(全地球測位システム)による位置情報などが挙げられる。

 これらを複合的に活用すれば、自分とつながっている人たちの「アクティビティストリーム」と呼ばれる行動履歴を時系列で閲覧できるようになる。企業にとっては宝の山ともいえるマーケティングデータだ。

 このデータや機能を活用する動きは2010年春頃から顕著になってきた。その1つが、インターネット上で期間と人数限定で割引クーポンを販売する「フラッシュマーケティング」の拡大だ。各社の専用サイトには、クーポンの感想や評価を簡単な操作で投稿できる機能が備わっている。TwitterやSNSを使って口コミを広げてもらうことで、新規顧客の獲得や認知度の向上につなげようと狙ったものだ。企業側が熱心に宣伝しなくても、募集最低人数をクリアしてクーポン購入を成立させたい消費者が、ソーシャルメディアを通じて自発的に購入を促す投稿をしてくれるからだ。

 また、SNSの会員に対し、その友人や知人などが「お気に入り」と登録した商品とその購入先のリンクを表示することで購買につなげてもらうサービスも広がっている。インターネット通販ではこれまで、個々の購買履歴を基にお薦め商品をリコメンド(推奨)する機能があったが、友人や知人からのお薦めはさらに購買意欲を高めることが期待できる。ソーシャルテクノロジーは2011年以降、企業のマーケティングに欠かせないツールになっていくだろう。

 米国ではソーシャルメディアを使ったマーケティングの企画立案や実行を担当するソーシャルメディア・マネジャーを設置している企業が増えている。日本でも、こうした責任者を任命する企業が出てくることが予想される。

手軽で便利な「パソコン代わり」で機動力向上

 2011年は個人の業務スタイルにも大きな変化が表れそうだ。それは本誌2月号特集の「7つのキーワード」の1つに盛り込んだ「PCレス」だ。1990年代以降、パソコン(PC)は業務に不可欠な道具となった。だが、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に続き、米グーグルの携帯電話向けOS(基本ソフト)「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォンが一気に拡大するとともに、「iPad(アイパッド)」などのタブレット型端末も普及が進んできた。

 さらに、SAPジャパンがBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの専用アプリケーションを開発するなど、スマートフォンやタブレット型端末で利用できる業務アプリケーションも増えている。プログラミングツールを使ってユーザー企業が独自開発する環境も整ってきた。持ち運びやすさや操作性などの利点から、スマートフォンやタブレット型端末を扱うPCレスの働き方が、職場はもちろん、営業の現場などで広がりそうだ。