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 ヒューマンスキル分野の“有名人”、田中 淳子氏と芦屋 広太氏による特別対談の第2回。芦屋氏に続き、田中氏が「行き詰まり感」をどう乗り越えたかを話します。話は資格を取るメリットと陥りやすい落とし穴へと広がります。

(構成:田中 淳=ITpro

芦屋 広太氏
写真:宮原 一郎 撮影場所:グローバルナレッジネットワーク

芦屋: 自分の手がける仕事に常に目標を設定するようになると、同じ仕事をやっていても態度が変わってきます。これまでは単に「これから今日の仕事だ」と思うだけだったのが、「さあ、今回の仕事ではどんな育成プログラムを作れるかな」と考えるようになる。

 当時はまだ連載はしていなかったのですが、こう考えるようになってから、いいものができるとネタとして記録するようになったんです、ノートや手帳に。それをある時、部下というか若手に…。

田中: 書いて渡したんですか?

芦屋: 私の仕事が開発から企画へと変わったときに、お別れの言葉として、そういうことを書いて渡しました。

 そういう機会が何回かあって、書いたものをまとめて自分のWebサイトに掲載するようになった。すると、読んだ方から「これは役に立つ」とか言われるようになり、その内容をもとに日経コンピュータに連載したいと企画を持ち込んだ。それで連載が始まったわけです。

 この時点で、自分は違うステージに立ったという実感がありました。行き詰まり感を打開できたように思えたんです。

「複数のわらじ」は精神衛生上のよさがある

田中: 開発の仕事をなさる一方で、色々な人に会いに行き、自分のノウハウをまとめてみようとして、結果的に書く仕事を得た、と。何足かのわらじになったら、だいぶ楽になったのではないですか?

芦屋: そうですね。

田中: 生きやすくなったというか。

芦屋: 生きやすくなった。ほら、会社の仕事でうまくいかないときってあるじゃないですか。そんなときに、違う仕事に逃げられるようになった。

田中: 「じゃ、原稿を書こうか」と。

芦屋: 原稿の世界では、うまくいかないことをうまくいくように書くと、とりあえず書き手としては満足します。人間なんで、精神的に弱ることもあるじゃないですか。そんなときに、会社の仕事上の立場は「今日はこれでおしまい」として、それからは物書きの顔になる。すると、気持ちも変わるわけですよね。

 話をする相手も変わります。物書きだと記者や出版系の方とかと違う話ができますし、教育の仕事であれば生徒や受講生が相手で、やはれ気分が変わる。それをぐるぐるやっているうちに、壁にぶつかるっていることなんて、いつの間にか忘れてしまう。

田中: とてもよく分かります。

芦屋: 精神衛生上のよさがあります。大変というよりも、心のコントロールに非常にいいなと思いますね。書いてみて「こんな方法があったな」と改めて気付き、現実に適用してみるとうまくいったりすることもありますしね。