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 ヒューマンスキル分野の“有名人”、田中 淳子氏と芦屋 広太氏による特別対談もいよいよ最終回。「行き詰まり感」を打開するにはまず小さな一歩を踏み出すことから、という点で二人の意見が一致しました。

(構成:田中 淳=ITpro

行き詰まり感を打開するために、転職して環境を変えるという選択肢もあると思いますが。

田中: 転職するメリットはいろいろとあると思います。ただ、行き詰まりを打開するという動機だけで転職するのはどうなんだろう?。特に、それがとてもネガティブな理由だった場合。たとえば、「周囲とうまくいかない」とか「上司が自分を認めてくれない」というような…。

芦屋: うーん…。

田中: もちろん、行き詰まりのレベルや内容にもよるでしょうけど。確かに、この会社ではこういう仕事は絶対できない、という場合はあるか。でも、本当にできない? 自分で立ち上げることはできない? とも思います。

転職に慣れてしまうのは危険

芦屋 広太氏
写真:宮原 一郎 撮影場所:グローバルナレッジネットワーク

芦屋: 転職して仕事を変えることには、良い面もたくさんあるのではないかと思います。ある意味、刺激になりますし。報酬が下がる、生活が不安定になるといったリスクはありますが、スキルやモチベーションを高めていくという意味で、価値観が違う人とかかわっていくのは成長のための一要素ではあります。

 ただ、会社をわざわざ変わらなくても、淳子さんが言われたように、いま自分のいる会社や組織の中でも、似たような効果が得られるケースは少なくないんですよ。転職には弊害もあって、転職を繰り返している人に聞くと「我慢ができなくなる」という傾向があるようです。

田中: 転職に慣れてしまうわけですね。

芦屋: 「仕事がちょっとつまらなくなったら、転職すればいいや」と考えてしまう。いまの経済状況だと難しいのかもしれませんが、景気がよくてIT企業でSEが不足していたときは、こう考える人が多かったですよ。

 わざと派遣として働いている人もいるんですよね。ある時期は派遣も悪くなくて、個人でやっているほうが給料も高かった。

 でもさっき言ったように、ちょっとつまらなくなるとすぐ転職したがる。壁にぶち当たる前に逃げてしまうわけです。

田中: 壁の手前で、会社を移ってしまう。

芦屋: そもそも壁にぶち当たるのは、自分の能力が足りないときです。だから、うまくいかなくなる。飽きてしまったというケースもありますが、多くは能力不足でうまくいかないときです。

 そういうときに我慢して壁を乗り越えれば、いろんなスキルが身に付くでしょう。そこで転職して、自分ができる場所に行ってしまうというのは、結果的に壁を避けた形になってしまうと思うんですよ。

こらえ性がないということですか。

芦屋: ここは誤解がないように強調しておきたいのですが、転職は基本的にいいと思います。転職している人を批判したいわけではありません。言いたいのは、同じ会社にいるにせよ転職するにせよ、乗り越えなければならない壁があり、その壁を乗り越えないと成長しないという点は一緒だということです。

 あえて言うと、仕事がうまくいかなかったときに転職だとみずから違う道へとスライドできる。会社は転勤希望を出しても、認められなかったらそこにいるしかない。こうした点が違うかもしれません。