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 「基本機能は無料、高機能版を使う場合は有料」──。こんなビジネスモデルを備えた企業向けクラウドサービスが、2010年12月に相次いで登場した()。サービス提供者は、まず無料版で顧客企業を引き込み、順次有料版を増やして収益拡大を狙う。

表●企業向けに「フリーミアム」のビジネスモデルを用意するクラウドサービスの例
*TISの社内ベンチャー
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表●企業向けに「フリーミアム」のビジネスモデルを用意するクラウドサービスの例<br>*TISの社内ベンチャー

 セールスフォース・ドットコムが12月7日に発表したのは、企業向けミニブログ「Chatter」の無料版「Chatter.com」。2011年2月に全世界で提供を開始する。

 Chatterは、Twitterに相当する機能を企業内で使えるようにするサービスである。利用者が投稿・公開した短いメッセージで情報共有できるようにする。

 無料版と有料版の違いは、フォローできる情報の種類だ。無料版でフォローできるのは、利用者のメッセージのみ。有料版は、文書ファイルや業務データが更新されると、そのことを利用者にリアルタイムに通知する機能も備える。

 エバーノートは12月9日、文書共有サービス「Evernote」の有料版に利用者管理機能を追加した。企業内でEvernoteを利用している従業員のIDを一元管理したり、利用料金を企業が一括して支払ったりできる。従来は、利用者個人が自分のクレジットカードでEvernoteの料金を支払う必要があった。

 「Evernoteユーザーの8割は、プライベートだけでなく仕事にも使っている。今回は、企業のシステム部門からの要望が多かったことから、管理機能を追加した」(エバーノートの外村仁会長)。

 こうした動きは、国内ITベンダーでも始まった。TISの社内ベンチャーであるSonicGardenは12月17日、無料版だけだった企業向けミニブログ「youRoom」で、有料版の提供を始めた。当初から世界展開して利用者を増やすことを目指しており、料金の決済はオンライン決済サービス「PayPal」を使ったドル建てのみだ。

 同社によると、現在の無料版の利用者数は1万人弱。「まずは多くの人に使ってもらい、ユーザーのすそ野を広げる。無料版の収益はゼロだが、利用者の数%が有料版を利用してくれれば採算がとれる」(倉貫義人カンパニー長)。

 3社のビジネスモデルは、「フリーミアム」と呼ばれる。基本的な機能やサービスを無料で提供し、より高度な機能を求めるユーザー向けに有償版を用意して、収益を上げる。フリーミアム型のクラウドサービスは、企業の有力な選択肢になりそうだ。