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 ITproの読者にセキュリティ分野で2011年に注目したいITキーワードを聞いたところ、1位となったのは「クラウド型ウイルス対策ソフト」だった。2010年には、候補にさえ挙がっていなかったが、2011年には初登場で1位に躍り出た。昨年の1位が「無償ウイルス対策ソフト」だったことを思うと、同じウイルス対策ソフトでも1年で読者の興味は大きく様変わりしたことになる。

表1●2011年に注目したいセキュリティ分野のITキーワード
表1●2011年に注目したいセキュリティ分野のITキーワード(有効回答数=3327)
(有効回答数=3327)
表2●2010年に注目したセキュリティ分野のITキーワード
表2●2010年に注目したセキュリティ分野のITキーワード(有効回答数=3327)
(有効回答数=3327)

 読者の注目度1位となったクラウド型ウイルス対策ソフトとは、ウイルスなどの脅威を検知するために必要なパターンファイルといったデータの大部分を、インターネット上にある各セキュリティベンダーのサイトに用意する製品のこと。従来のように、これらのデータをすべてパソコン側でもつのではなく、必要に応じてサイトにアクセスして利用する。これにより、パソコンにパターンファイルをダウンロードして更新する負荷が軽減するため、更新作業のためにパソコンの動作が重くなることがなくなる。また、データを更新する頻度も大幅に増やせるため、ゼロデイ攻撃の脅威に対して防げる可能性も大幅に高くなる。

ウイルス対策にも“クラウド”の波

 ウイルス対策にインターネット上のサーバーを活用する流れは「レピュテーション」などの言葉で、以前から利用が進んできた。だが、IT業界で「クラウド」が注目を集めるに伴い、このレピュテーションをより活用する形にすると同時に“クラウド型”とうたうことでユーザーの関心を集めようという動きが2010年半ばから本格化してきた。これに伴い、ITpro読者の関心も急上昇した形だ。

 クラウド型ウイルス対策ソフトは、すでにベンダー各社から提供されている。ITpro上でも、『セキュアブレイン、他社製ソフトと共存可能な無償のクラウド型ウイルス対策ソフトの新版を公開』、『パターンファイルの8割をクラウド上に移行、トレンドマイクロがウイルスバスターの新版を発売』、『ソフォス、セキュリティ対策ソフト最新版にクラウド型機能搭載』といった記事を紹介してきた。シマンテックやマカフィーなどからも、同様のクラウド型ウイルス対策ソフトは登場しており、この流れは2011年も変わりそうにない。

尖閣ビデオやWikiLeaksの問題で「情報漏えい」が再注目

 続く2011年に注目したいキーワードの2位には「情報漏えい」が入った。情報漏えい自体は、かなり以前から言われ続けてきたキーワードである。特に個人情報保護法が制定あるいは施行されたときには大きな関心を集めた。それからやや時間が経って、今回改めて注目を集めた格好である。

 これは、昨年後半に勃発した尖閣ビデオ流出やWikiLeaksの問題が大きく影響していると思われる。これらの話題は、ITpro上でも『尖閣映像流出で浮き彫りになったITリスク』、『衝突ビデオの投稿者は特定されないのか』、『WikiLeaksの超弩級・破壊的衝撃』、『WikiLeaksに大騒ぎ』--などと報道。いずれも大きな関心を集めた。

 今回のアンケートを実施した時点では、まだこうした尖閣ビデオ流出やWikiLeaksのインパクトが大きかった。そこで、改めて自社の情報漏えい対策について見直そうと思った人も多く、こうした結果となったのだろう。

2011年はスマートフォンのセキュリティに大注目

 2011年のキーワードとして、特に注目したいのは3位の「スマートフォンセキュリティ」だ。下の図の2010年に注目したキーワードではまったくランク外なのに、2011年に注目したいキーワードとしては第3位に見事ランクインしている。昨年まではそれほどでもなかったが、「たぶん今年は重要になるだろう」とITpro読者が高い関心を持っていることが伝わってくる。

 これは、昨年末から日本国内でもスマートフォンは本格的な普及期に入っていることが大きい。先行するソフトバンクモバイルのiPhoneに対抗して、NTTドコモとKDDI(au)がAndroidを搭載したスマートフォンを2010年の年末商戦に大量投入。一気にスマートフォン市場が盛り上がった(関連記事:Androidスマートフォンが続々登場、先行するiPhoneを猛追)。

 こうした新しい動きを、悪意を持った攻撃者がいつまでも見逃すとは思えない。実際、『Android、WebOS、iOSに共通する弱点』『世界初の「Androidボット」出現、スマートフォンを乗っ取る』『Androidを狙うトロイの木馬「Geinimi」などインシデント続々』といったように、すでにスマートフォンのセキュリティについて警告を発する動きが出てきている。

 これに対し、『マカフィー、スマートフォンやタブレットなど「最新ガジェットを守る5つのセキュリティアドバイス』『ラックがスマートフォンセキュリティ研究所を設立』、『スマートフォンのセキュリティに関するフォーラム設立へ』といったセキュリティベンダー側の対抗策も具体的に動き始めている。2011年はスマートフォンに対するセキュリティの話題がたくさん出てきそうだ。

 ちなみに、第4位以下は比較的“定番”といえるキーワードが並ぶ。

 「バイオメトリクス認証」や「USBウイルス/PDFマルウエア」「検疫ネットワーク」「PDFウイルス/PDFマルウエア」「偽ウイルス対策ソフト」は、多少の順位の入れ替わりはあるものの、いずれも昨年の注目したいランキングでも3~8位に入っていた。こうした定番キーワードは、新しい攻撃手法や脆弱性が次々と登場し、文字通りいたちごっこと言える状況である。今年も、定期的にITproの記事を賑わすことになるだろう。