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 従来のICT業界の中央官庁向けビジネスをビジネスモデルで分類すれば、業界としての重要性の順に次の3種類だった。

1.情報システム構築
2.産業インフラ整備
3.先端技術研究開発

 平成23年度予算では、民主党政権の新成長戦略に対応する形で、これまでの3分野に次の2分野が加わった。

4.社会システム
5.環境ICT(グリーンICT)

 これらの新ビジネスモデルは合計24%もあり、業界としては無視できないボリュームだ(図1)。

図1●平成23年度総務省と経産省予算における各ビジネスモデルの割合
図1●平成23年度総務省と経産省予算における各ビジネスモデルの割合
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 今後、新IT戦略の工程表が進捗していけば、さらに増える可能性が高い。つまり、ICT業界は対応を迫られているのだ。今回は、これらのビジネスモデルを解説するとともに、ICT業界が求められている方向性を順に解説していこう。

従来のビジネスモデル

 従来のビジネスモデルには、「情報システム構築」「産業インフラ整備」「先端技術研究開発」の3分野があった。

 ビジネス対象としては、情報システム構築分野が主力であり、最もボリュームが大きい。内容としては、電子政府や内部業務を対象とした情報システムやそのためのネットワーク基盤などを構築するものだ。きちんとプロジェクトマネジメントできれば通常はそれなりの利益が獲得可能な領域だ。

 この分野での新しい動きは、霞ヶ関の電子政府にクラウドコンピューティングを導入することが明確化されたこと(総務省「政府情報システム刷新のためのクラウド基盤の整備事業」)である。これまで自治体クラウドはスタートしているが、中央官庁のクラウド化は、統計のような個別業務システムごとの対応が先行しているだけで、基盤部分をクラウド化することの検討が開始されたのは前進といえる。

 情報システム構築の分野では、総務省549.1億円、経済産業省277億円、両省合計826.1億円の平成23年度予算規模だ(表1)。ICT関連予算の40%を占める。

表1●「情報システム構築」関連平成23年度予算案
表1●「情報システム構築」関連平成23年度予算案
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 産業インフラ整備とは、例えば来年度予算案の「光の道構想」が相当する。すべての家庭に光ファイバーを敷設するとなると膨大な設備投資である。この他にも総務省が「日本×ICT戦略による3%成長の実現」でくくっている項目はほとんどこの範疇だ。

 この分野では、総務省396.9億円、経済産業省155.1億円、両省合計552億円の平成23年度予算規模だ(表2)。ICT業界にとっては最低限の利益が期待できる有難い分野だ。

表2●「産業インフラ整備」関連平成23年度予算案
表2●「産業インフラ整備」関連平成23年度予算案
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 先端技術研究開発とは、ICT産業の国際競争力を強化するために戦略分野の最先端技術の研究開発を支援するものだ。研究開発が目的のため、この予算ではコストベースでの契約が中心で利益はでない。ICT業界にとっては自社研究開発費の代替という意味であり、それはそれで有難いのだが、売り上げとともに利益追求も要求される事業部門にとっては頭の痛い分野だ。この分野では、総務省114億円、経済産業省84.5億円、両省合計198.5億円の平成23年度予算規模だ(これらはICT関連だけを対象としており、例えば経済産業省の純粋なエネルギー関連などは含まない、表3)。

表3●「先端技術研究開発」関連平成23年度予算案
表3●「先端技術研究開発」関連平成23年度予算案
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 ところで、研究開発の対象に医療・健康・福祉分野も入っている。総務省では「医療・健康情報連携基盤」「ライフサポート型ロボット技術」、経済産業省では「医療の情報化」「生活支援ロボット」のように予算化されているのだが、これは医療・健康・福祉が新成長戦略の重要な戦略分野だからだ。