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 2010年10月に発生した反日デモの影響で、思わぬ注目を集めた中国・成都のイトーヨーカ堂。実は同店は、ヨーカ堂にとって初の海外店舗である。本書は成都の店舗を中心に、イトーヨーカ堂が中国で成功を収めるまでの軌跡をたどっている。

 日本では揺るぎないヨーカ堂の知名度も定評のある接客手法も、進出当初の中国では全く通用しなかった。日本でエース級のバイヤーが交渉しても中国の業者から満足に買い付けることさえできず、やむなく市場に出回っている商品を購入して売り場に並べる有様だった。接客教育も同様だ。他人に頭を下げることを良しとしない中国の風土の下では、ヨーカ堂流の接客を現場に浸透させるまでに2年を要した。

 慣れない土地で毎日朝から夜10時まで仕事続き。ストレスで体を壊したり、精神を病んだりして脱落した人材もいた。それでもイトーヨーカ堂のサムライたちは歯を食いしばって仮説・検証を繰り返し、現場改善を重ねてきた。それが「中国で最も成功した外資」と認められる原動力だったことが分かる。現場で奮闘した日中のスタッフに丹念に取材して綴られた具体的かつ壮絶なエピソードの数々は、心に迫るものがある。

巨龍に挑む

巨龍に挑む
湯谷 昇羊著
ダイヤモンド社発行
1680円(税込)