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 「2011 International CES」(CES2011)では、最新の製品が集まる展示会だけでなく、基調講演をはじめとする講演やカンファレンスも充実していた。技術とヘルスケアの融合を扱う「Digital Health Summit」、オンラインやデジタル技術を使った教育の可能性を議論する「HigherEd Tech Summit」 、スマートフォンやタブレットによるサービスやビジネスの可能性を討議する「Smartphone and Tablet Conference」など、主催者がかかわる関連講演だけでも約30のカンファレンスが併催されている。

 国土が広い米国では、CESのようなイベントは要人が全米から集まる貴重な機会である。展示会を眺めつつ、それぞれの専門領域に関するカンファレンスに参加する来場者も少なくない。

 FCC(米連邦通信委員会)委員長の生の声が聞けるセッション「FCCのジュリアス・ジェナコウスキー委員長との対談」(One-on-One With FCC Chairman Julius Genachowski)も、CES2011の目玉イベントの一つだ(写真1)。民主党政権発足後、日本版FCCの設立構想が話題になったが、本家のFCCは米国のICT戦略を担う組織であり、その代表である委員長の講演はCESの恒例イベントとなっている。

写真1●FCCのジェナコウスキー委員長
写真1●FCCのジェナコウスキー委員長
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 ジェナコウスキー委員長の生の講演を聞いて強く感じたのは、米国が現在取り組んでいるモバイルブロードバンドの構築が「米国の産業振興と国際競争力の向上」のためのものであるということだった。ブロードバンドの実現手段としては、光ファイバーではなく無線が中心に据えられている。日本で話題になった「光の道」構想も出発点は産業振興と国際競争力向上だったものの、いつの間にか話題の中心がその実現手段に移ってしまった感がある。一方、米国ではひたすら産業振興と国際競争力の向上を訴え続け、求心力を得ようとしているように思えた。

周波数は無線通信機器の「酸素」

 今回のジェナコウスキー委員長の講演は、大きく二つの骨子にまとめられる。一つは、モバイルブロードバンドが米国の経済にいかに貢献し、多くのベンチャー企業を生み出し、たくさんの雇用を生み出す可能性を秘めているかという点。もう一つは、その実現には、周波数の確保が欠かせないという点である。

 まず、モバイルブロードバンドの潜在力については、デジタル業界全体が無線インターネットに向かっているという認識を示したうえで、期待できる成果の一例として通信事業者がCES2011でこぞって推進した4G(第4世代移動体通信)を挙げた(前回の『[ITインフラ]「4G」大国を目指す米国』を参照)。4Gにより、エンターテインメント、双方向映像通信、遠隔医療の可能性が広がるという。

 ジェナコウスキー委員長が続いて挙げたのがタブレット端末だ。昨年のCESではほとんど触れられていなかったが、ガートナーの予測によると今年の販売台数は5500万台に達するとされる。さらに電子教科書の可能性についても触れた。FCCの調査では、米国のほとんどの学校が向こう3年で電子教科書の導入を増やす計画であるという。ジェナコウスキー委員長は、「紙からデジタル教科書に移行する世界で最初の国になろう」と呼びかけた。