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人情を重んじるとプロジェクトが失敗する確率が高くなるという。感情に支配され、客観的事実に目をつむってしまったら、プロジェクトはたちまち失敗へと向かうだろう。しかし、人間は感情の動物だ。人情・感情を無視したらモチベーションは絶対に上がらない。このトレードオフの均衡点はどこにあるのだろうか。

後藤 年成
マネジメントソリューションズ 取締役 PMP


 年末・年始に本の整理をしていたら、以前読んだ『失敗の本質---日本軍の組織論的研究』(中央公論社)という本を見つけました。最初に読んだ時はまだ社会に出たばかりの頃だったので、正直なところ、あまり記憶には残っていませんでしたが、今回なんとなく気になり、もう一度読み返してみることにしました。

 この本には、「失敗はなぜ起きてしまうのか?」という多くのメッセージが詰まっていました。それはまさに、プロジェクトマネジメントに携わっている者にとっては、プロジェクトを失敗させないための珠玉のメッセージでした。

 今回は、私がこの本を読んで「プロジェクトマネジメント」と「失敗を引き起こす感情」いう視点から考えたことを読者の皆さんにもお伝えしたいと思います。興味がわいた方には『失敗の本質』も一読をお薦めします。

「体面」「人情」「組織内の融和と調和」を重んじてはならない

 『失敗の本質』では、失敗を避けるために、「体面、人情、組織内の融和と調和を重んじてはならない」としています。その理由は、体面、人情、組織内の融和と調和を重んじると感情に流されやすくなり、その結果、客観的事実を無視(軽視)して「目的や実現性が乏しい計画」を実行に移してしまうという。さらにコンティンジェンシープランのようなリスク管理も甘くなる。つまり、「体面、人情、組織内の融和と調和を重んじる」と失敗する確率が高くなるというのである。

 これをプロジェクトマネジメントに当てはめて考えたとき、私はまず「人間は感情の動物」であり、それを無視してしまったらモチベーションと生産性を著しく低下させてしまう恐れがあるのではないか、と感じました。それゆえ、それらの感情を全く無視してしまうのは問題があると。

 例えば「調和を大切にすること」は、組織が持っている「組織感情」、分かりやすく言い換えればプロジェクトの雰囲気を、風通しのよい状態にすることに大きく貢献していると思います。