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米国ではUstreamに代表されるライブ・ストリーミング・サービスの人気が高まっている。今後もYouTubeをはじめとした大手プレーヤーの参入や、スマートフォンを利用した撮影・視聴機会の拡大によって市場がさらに盛り上がる可能性が高い。ライブ・ストリーミング・サービスの現状と、将来の可能性について解説する。


山本 惇一/情報通信総合研究所 研究員

 米コムスコアの調査によると、米国における主要なライブ・ストリーミング・サービスの1カ月の総視聴時間は前年度比648%増と急増して14億分となった。これは「Ustream」や「Justin.TV」「Livestream」など人気の高い5サービスの合計値である。

 コムスコアの7月の調査によれば、Ustreamの視聴者数(ユニークビューア数)は約300万/月、Justin.TVは約260万/月と確実に増えている。約1.4億/月の「YouTube」や、約3000万/月の「Hulu」(NBC、FOX、ABCなどの米国のテレビ局がコンテンツを提供する動画配信サービス)にはまだまだ及ばないが、その存在感は確実に高まってきている。先日のチリ落盤事故の救出劇でも、マスコミの中継をさらに再中継したUstreamは、過去最大の配信数となる530万回のストリーミングを全世界に向けて配信した。

 一方、YouTubeは2010年9月13~14日の2日間限定でライブストリーミング配信のトライアルを実施した。著名人のインタビューなどパートナー企業4社が提供する12番組を配信したほか、視聴者がコメントを投稿できる「Live Comments」機能の試験も行った。ストリーミングのインフラが貧弱で動画の品質が不安定だったことや、当日の視聴者が少なすぎたことなどの課題はあったものの、同社は今後、一般ユーザー向けにライブ・ストリーミング・サービスを提供していくとみられる。

 ライブ・ストリーミング・サービスは今後、企業の広報活動や個人による配信・視聴など様々な場面での利用増大が予想される。法人向け、個人向けそれぞれ注目すべき動きを紹介する。

SNS最大手のFacebookが開始

 法人向けでは、全世界で5億ユーザーが利用するSNS(Social Networking Service)最大手のFacebookに動きがある。自社広報をライブストリーミングで行う「Facebook Live」を8月に開始した。インタビューや製品デモなどの情報を一般ユーザーに向けて発信する。このサービスはLivestreamのプラットフォームを利用している。現在は、Facebookが自社の広報活動にのみ利用しており、同社はプロダクトとしての他社への提供を否定している。しかし今後は他の企業にもライブ・ストリーミング・サービスを提供していくと予想する。

 そもそもFacebook上には各企業の公式ページ「ファンページ」が多くあり、企業と顧客とのマーケティングコミュニケーションの接点となっている。日本企業ではユニクロが2010年9月にファンページをFacebook上に公開し、10月時点で約17.5万人のユーザーがユニクロのファンとして登録した。Twitterを利用した企業の広報活動も一般化してきている。こうした流れを受けて、企業と顧客のリアルタイムのコミュニケーションとしてライブストリーミングが追加される可能性は高い。

 個人向けでは今後、モバイルでの撮影・視聴機会が急速に拡大していくとみている。スマートフォンの増加と、ライブストリーミング向けアプリケーションの提供が増えているからだ。例えばUstreamは2009年、Justin.TVは2010年9月にAndroid端末やiPhone向けのアプリ提供を開始した。

 モバイル向けライブ・ストリーミング・サービスを提供するQikは9月時点で350万人の利用者を抱え、毎月50万近くが新たに利用を開始していると発表している(図1)。QikはiPhone、Android、BlackBerry、Symbian向けにアプリを提供しているほか、「HTC EVO 4G」「Nokia N97」などのスマートフォン数百万台にプリロードされている。ある報道によると、Qikはこれを、2011年度には7500万台に増やす計画という。

図1●モバイル向けライブ・ストリーミング・サービス「Qik」の利用者数の推移
図1●モバイル向けライブ・ストリーミング・サービス「Qik」の利用者数の推移
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