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ありそうなケースを描く

 さて、好都合なシナリオと不都合なシナリオがそろったら、二つを並べて眺めてみましょう。上記の手順に従って描けていれば、ベストケースもワーストケースも現実的な予想からは離れているはずです。

 極端に両方に偏った二つのシナリオを眺めながら、「ありそうなシナリオ」を想像してみましょう。両極のケースから意識的に距離を置いて、できるだけ中立的な観察者の立場をとります。実際に起こりそうなことは何でしょうか。

 これもベストケース・ワーストケース同様に紙に書き出しておきます。この際に、これは厳密な意味で予測ではないと思っておいてください。予測だと思うと正確に当てようという意思が働き、描くのが難しくなります。外れてもいい想像だと思って手早く描き出すことがコツです。

 シナリオ構築は、この段階においては予測作業ではありません。交渉戦略を構想する上での土台となる具体的なコンテクストを組み立てているのです。ここでは、予測とシナリオは違う、と覚えておきましょう。

シナリオを左右する要素を洗い出す

 これで三つのシナリオがそろいました。好都合なベストケース、不都合なワーストケース、そしておそらくその二つの間に位置すると思われる現実的にありそうなケース。

 ここから少し分析的な作業です。「いったいどういう要因によって実際の交渉が推移するのか」と考えてみてください。最初は大まかな分析で結構です。三つのシナリオに描写された要素をより分けてみてください。

 要因を抽出したら、これをリスト化します。人、物、金、情報、人間関係、経済環境、社会情勢、政治状況など、できるだけ網羅的に並べておきます。