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制御可能な要素を洗い出す

 リスト化されたシナリオ要因を大まかに以下の二種類に分類してみましょう。

  • 制御可能な要素
  • 制御不能な要素

 この分類は状況によって変わるかもしれませんが、基本的には自分の工夫や努力によって変えられる要因と、相手次第や環境次第で決められてしまう要因とに分けて考えます。

 交渉ごとに入り込んだとき、手慣れた交渉者は瞬間的に自分の力の及ぶ範囲を察知しています。本当に優れた交渉者は、ほとんど本能的に制御不可能性を熟知しているようにすら見えます。制御不能な要因については争ってもあらがっても無意味です。ゲームの条件として受け入れるほかありません。逆に自分の工夫次第で変えられることを、無意識のうちに不可抗力として受け入れてしまっていることも多々あります。

 交渉前のインナーワークで扱えることは、あらかじめ制御可能か制御不能かの現実的な腑(ふ)分けです。変えられないものを受け入れ、変えられるものを見極めることです。

譲れるポイント・譲れないポイントを挙げる

 三つのシナリオを眺めて、交渉者の立場として受け入れられないもの、譲れないものの存在を突き止めます。「これが来たらおしまい」というポイントはあるでしょうか。

 例えば交渉の途中で「どうしても受け入れられない不都合な要因」が出てきたら、それはすぐに特定して対処する必要があります。英語でこのような要因のことをshow stopper(ショーストッパー)と言いますが、これがあったらショーを続けられないクリティカルなポイントのことです。逆に交渉戦術で相手にとってのショーストッパーを作り出して意図的に折衝を止めてしまう手法もあります。

 譲れないポイントを見出せれば、逆にその裏側は場合によっては譲れるものとなります。これは交渉上の「カード」と呼べるものです。自分にとって安価なカードが相手にとって高価(高い価値)であることも珍しくありません。カードを豊富に持っているに越したことはありません。