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アクションプランを策定する

 最後はアクションプラン(行動計画)の策定です。

 「初めに終わりを考えよ」の教えに基づいて、メタビジョンから現状のリアリティーを眺め、できるだけ好都合なベストケースに近づくための大きな計画を練ります。ワーストケースに集約されるリスクが大きなものであったり、確率の高いものであるなら、リスクを回避したり解決したりする対策も必要でしょう。

 アクションプランに必要なのは、タイムラインです。いつまでに交渉を終える必要があるのか。どのくらい時間の余裕があるのか。自分にとって時間に余裕があることは常に望ましいことです。交渉相手にとって時間的余裕があるのかどうかも十分に考慮に入れておきたいところです。

 対人交渉における時間の戦略的扱いについては別の回に詳しく見ていきましょう。

現実のプロセスに従う

 さて、シナリオ構築のインナーワークは、あくまでも合理的意思決定を行う上での準備に過ぎません。どんなシナリオを描こうと、脚本通りに進行する交渉ごとなど一つもありません。シナリオやアクションプランに現実を従わせようとすることほど誤ったアプローチはありません。

 自分が勝手に抱えた心配や期待などの余計な感情を排し、できるだけ冷静で客観的な状況認識と高い目標設定を行うことがシナリオ思考を応用する狙いでした。

 実際に交渉のスタートした状況においては、シナリオが優先ではなく、あくまでも眼前のリアリティが優先です。メタビジョンから、ベストケースから、シナリオ要因から、クールにクリエイティブに現実のプロセスを眺め、臨機応変に交渉ごとを進めましょう。

 次回はいよいよ交渉相手や利害関係者の把握と分析に入ります。

(つづく)

田村 洋一(たむら・よういち)
田村 洋一(たむら・よういち)  野村総合研究所、シティバンク、外資系経営戦略コンサルティングファーム、情報サービス事業会社を経て独立。2002年からピープルフォーカス・コンサルティング顧問、メタノイア・リミテッド代表取締役。著書に、『なぜあの人だと話がまとまるのか?』(明日香出版社)、『組織の「当たり前」を変える』(ファーストプレス)等がある。
この記事は、2010年10月4日~12月20日にBizCOLLEGE上に掲載された連載記事を転載したものです。