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 もう7年ほど前のことです。「どうしても相性の悪いお客さんがいて困っている」という人がいました。「その人がうちの会社の担当じゃなかったらよかったのに」と言います。どんな人なのかと聞くと、「気難しい人で、私のことを嫌っているみたいだし、まるで信頼してもらえない」ということです。

 私はその人物のことをまったく知りません。ただ、話を聞いただけで信頼関係がないこと、気難しそうな人物だということはよくわかります。

 気難しい人はいるし、誰にでも相性の悪い人はいるものです。それを無理に相手に合わせようとしたり、自分に合わせてもらおうとしたりしてもうまくいきません。

 「田村さんは苦手な人や難しいお客さんとはどうやって接しているんですか?」と聞かれたので、「相手がどんな人でもクライアントだと思って接している」と答えました。

どんな相手でも「子供」だと思って接する

 クライアントとは、単なるお客さん以上の存在です。英語のclientには「庇護(ひご)のもとにある人」という意味があります。いわば「守ってあげるべき存在」をクライアントと呼ぶのです。

 さらに「クライアントだと思って接するというのはどういうこと?」と聞かれたので、それは言ってみれば「相手を守ってあげたい子供のような存在」だと思って接することだと答えたのでした。

 自分が苦手にしている気難しい年配のお客さんを「守ってあげるべき子供」だと思って接するというのは、必ずしも簡単ではないかもしれません。

 しかし、いったん相手との関係を規定できてしまえば、かなり気難しい人物の厄介な言動に対しても、いらだったり不安を感じたりすることがなくなります。逆に相手の怒りや悲しみやいらだちに対して、慈しみの気持ちをもって理解や関心を向けることができるようになるのです。