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 「収益認識」や「リース」といった主要な基準の確定、米国による強制適用の可否の決定---。2011年、注視すべきはIFRSにかかわる海外動向だ。日本企業のIFRS対応や強制適用の決定に影響を与える可能性が高い。

 IFRS(国際会計基準)への対応を進める日本企業は、2011年をどう位置づけるべきか―。日本では、IFRS関連の動きは少ないように見える。金融庁が日本の強制適用の可否を決めるのは12年。強制適用が決定した場合、適用時期は早くて15年3月期からだ。

 一方、海外に目を転じると、日本企業のIFRS対応に影響を及ぼす重要な決定が多い()。IFRSを策定するIASB(国際会計基準審議会)と米国が進めている共同プロジェクトがひとまず完了する。米国の会計基準とIFRSとの差異を埋めるためにIFRSを改定するプロジェクトだ。これを受けて米国は、自国でのIFRS強制適用の可否を11年中に判断すると表明している。

図1●2011年のIFRSに関する主な動き
図●2011年のIFRSに関する主な動き
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 日本では11年3月期に「包括利益」が連結財務諸表に適用される。IFRSと日本の会計基準(日本基準)との差異をなくすコンバージェンス(収れん)の一環だ。資産の変動を利益に含める包括利益は、IFRSの考え方を反映した代表的な概念である。

 情報システム部門は2011年に、こうした国内外のIFRSの動向を見極めつつ、IFRS対応を本格化する必要がある。「強制適用の決定を待たずに着手できる作業から進めるべき」とデロイトトーマツコンサルティングの安井望ディレクターは指摘する。

「収益認識」「リース」が固まる

 11年に注視すべき海外の動向は二つある。一つめは、11年6月までにIASBと米国による共同プロジェクトで主要な基準が確定すること。これによりIFRSの大幅な変更が一段落する。

 11年6月までに確定するのは「金融商品」「収益認識」「リース」「その他の包括利益の表示」「公正価値測定」という五つの会計基準である。いずれも企業や投資家への影響が大きいと見込まれることから、IASBと米国は優先的に作業を進めている。

 日本企業にとって、頻繁な会計基準の変更はIFRS対応を困難にする一因だ。特に売り上げの計上基準を決める収益認識や、現行の日本基準と大きな差異があるリースは、日本企業への影響が大きい。基準が確定すれば、システムの修整内容も明確になり、IFRS対応を進めやすくなる。

 11年に注視すべきもう一つの動向は、米国によるIFRS強制適用の可否である。11年中に強制適用を決めた場合、米国は適用時期を15年以降としている。

 日本が12年に予定しているIFRS強制適用の決定は、米国の決定に左右されるとの見方が一般的だ。米国がIFRSの強制適用を決めた場合、日本も強制適用を決定する可能性が高くなる。