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 各企業の業務に合ったアプリケーションを開発する。こう書くと1行で済むが難問である。ソフト会社「GCT研究所」の創業社長である著者は10年近い研究の末、この難題を解決できる「GCT(業務コントロール技術)」を確立したという。「成功率100%の4倍速開発」を可能するというGCTの理論と方法を3年をかけて記したものが本書である。

 「成功率100%」と聞いた瞬間、「あり得ない」と思う人が大半であろう。著者自身も「数え切れない論難を今も浴び続けている」と書く。ただし、「最後には全員が黙る」そうで、GCTを使った開発案件で「技術的には全戦全勝」と断言する。本書の大半は「業務の構造をいかにしてとらえるか」に関する地道な成果報告なのだが、こうした“熱いメッセージ”が随所に挿入される。これは、開発現場を「和やか」にして、開発者たちを「明るく、前向き」にしたいという著者の強い思いからきているもので、読み進むうちに「今度はどういうたんかを切るのか」と楽しみになってくる。

 GCTの特徴は、現実の業務とアプリケーションをはっきり区別し、業務の分析や定義、それに基づく設計を徹底的に優先した点にある。実際のアプリケーション開発では、GCTの手法に沿って業務を整理・設計し、データ項目を洗い出すだけでよいという。

 これはGCTに基づく開発支援システムがアプリケーションを自動生成するためだ。データベース設計もプログラミングも不要という。開発支援システムのなかに、共通して使われる機能部品が用意されており、業務設計に応じて部品がそのつど組み合わされる。部品には機能だけを実装しており、業務固有の要件は一切入れていない。

 著者の研究によると、企業ごとに千差万別の業務はわずか五つの「型」に分類できる。大雑把に言うと、五つの型を実行するソフト群を用意しておき、そこに業務設計情報を入れれば、業務に合ったアプリケーションが出来上がる。

 GCTを説明するために、大量の「GCT用語」が使われており、それに慣れるのはいささか難しい。まず第1章を2回ほど読んで主張を理解し、次に第6章と第9章へ飛んでGCTを紙上で体験し、それから2章に戻って理論を読み進むとよいだろう。

業務の構造科学とクラウドアプリケーション

業務の構造科学とクラウドアプリケーション
岡部 摩利夫著
リックテレコム発行
2730円(税込)