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 イーサネットとは、LANなどで使われるネットワーク機器やケーブルの標準規格である。企業内ネットワークやホームネットワークのほぼすべてで、イーサネットを使っているといっても過言ではない。

 イーサネットを採用したネットワークは、利用するアプリケーションをほとんど制限しない。Webブラウザーが利用するHTTPをはじめ、メールソフトのPOP3/SMTP、ファイル交換やリモートアクセスに使うSSHといった様々なアプリケーションプロトコルに対応している。ユーザーがあらゆるアプリケーションで自由に通信できるのは、イーサネットのおかげである。

 また送り出したデータが、ほかの機器が送り出すデータとケーブル上で衝突しないような工夫が用意されている。もし衝突が発生して、送り出したデータの電気信号が壊れても、再送する仕組みも整っている。

 そこで今特集の1回目と2回目では、使いやすく安心のイーサネットがどのような仕組みでそれらを実現しているのかを見ていこう。なおイーサネットの仕様は、IEEEがIEEE802.3として定めている。そこで今特集の1回目と2回目はIEEE802.3の仕様をベースに話を進めていく。現在普及している機器が採用するIEEE802.3を拡張した仕様については、3回目以降で触れる。

MACフレームを使って運ぶ

 イーサネットを一言でいえば、通信データを「MACフレーム」もしくは「イーサネットフレーム」と呼ばれるフレーム単位で運ぶネットワーク技術である。

 送信側のコンピュータでは次のように処理を行って、MACフレームがデータを運ぶ。まずアプリケーションの通信データを、OSが標準で備えるTCP/IPスタックが細切れにして、TCPパケットを作り、それを収めたIPパケットを作る。イメージでいえば、IPパケットは荷物を運ぶためのダンボール箱、その中に細切れにしたアプリケーションのデータを包んだTCPパケットが入る。

図1-1●イーサネットはMACフレームでデータを運ぶネットワーク技術
図1-1●イーサネットはMACフレームでデータを運ぶネットワーク技術
LANの大半がイーサネットを使っている。TCP/IPスタックがデータを細切れにしてIPパケットという箱に入れ、MACフレームに載せてネットワークに送り出す。
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 イーサネットは、TCP/IPスタックからIPパケットとそのあて先の情報を受け取る。そして、あて先を付けたMACフレームにIPパケットを載せてネットワークに送り出す(図1-1)。MACフレームは、IPパケットというダンボール箱を載せるトラックのようなものだ。

 このような仕組みで、イーサネットはIPパケット化できるどんなアプリケーションプロトコルのデータでも運ぶことができる。ここではアプリケーションのデータからTCPパケットを作った例で説明したが、TCPでなくUDPという別のプロトコルに対応したアプリケーションの場合も同じである。