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 IT業界でプロとして活躍するには何が必要か。ダメな“システム屋”にならないためにはどうするべきか。“システム屋”歴30年を自任する筆者が経験者の立場から、ダメな“システム屋”の行動様式を辛口で指摘しつつ、そこからの脱却法を分かりやすく解説する。(毎週月曜日更新、編集:日経情報ストラテジー

中途入社の“システム屋”同士の会話
ダメな“システム屋”の会話 若手 「先輩、ちょっといいですか。先輩も中途入社ですよね?」
先輩 「ああ、偉そうな顔をしているけど入社してまだ3年だよ。そういえば君も中途だったよな。去年かな?」
若手 「ええ、そうです。私の先輩の中でも、中途で入ったAさんは実力を発揮できていないし、Bさんは浮いているようですが、でも、先輩はなじんでいるというか、むしろ周囲を引っ張っている感じですね」
先輩 「うーむ、確かにAさんは周囲の目を気にしすぎかもしれないし、Bさんは“ボス猿”志向という感じはするかもな」
若手 「ボス猿、ですか?」
先輩 「実は、僕も前の会社にいたときはボス猿になることしか考えていなかったよ。でも、ここには外から中途入社してきたわけだから、元からいる“メスライオン”たちが、僕という“オスライオン”を受け入れられるかどうか、しっかり考えながら動こうと思ってるよ」
若手 「それはどういうことですか?性別のことを言っているわけではないですよね」
先輩 「おお、理解が早いな。何かで読んだけど、グループで生活しているメスライオンたちは、グループのリーダーとして、放浪しているオスライオンを受け入れたり拒絶したりするそうなんだ」
若手 「へえ。中途で入社してきた先輩は、放浪中のオスライオンということですね」
先輩 「そうそう。メスライオンたちはいかなる観点でオスライオンを評価するか、これだけを考えたよ」
若手 「でも、その先輩の振る舞いと、ボス猿志向とは、何が違うのですか?」
先輩 「明確に違うというわけではないけど、ボス猿は純粋に競争で勝ち上がることばかりを考えているよね。ところが、ライオンのグループは、受け入れるか拒絶するか、だろ?」
若手 「ふーむ、確かに。でも、受け入れるかどうかの観点というのは?」
先輩 「僕が考えたのは、見た目遺伝子教育能力の3つだな」
若手 「え?それ、面白そうですね。私もこの会社になじむために参考にしたいので、詳しく教えてください」
先輩 「じゃ、お茶でも飲むか」

ダメな理由:受け入れ側の立場で考えられない

 前回(第23回)は“システム屋”の業界で“インフラ屋”と“アプリ屋”などと分けたがることの問題点を指摘しました。

 小売業や製造業などに比べて新しい産業であるIT業界は、変化が激しいということです。会社から会社へと転職したり、社内でも人事異動で新しい部署に移るケースは、他の業界より多いことでしょう。

 ただし、こうした転職や異動をきっかけにダメな“システム屋”へと転落するケースをよく見ます。受け入れる側の立場で考えないからです。相手の立場で考えなければ、せっかくの実力を発揮できなかったり、誤解されたりして、良いことは何もありません。

 諸外国に比較して日本では、企業間でも企業内でも「“動く”と損だ」という考えられている傾向があります。しかし、特に“システム屋”の世界では、動くことによる様々な経験が、柔軟な思考や幅広い発想をもたらしてくれるはずです。動くことを嫌がるよりも、動いても損にならないようにしたいものです。

 新しい会社や部署に来た時、必要以上に周囲の目を気にする、あるいは逆に、必要以上に自己主張を強くするという行動パターンに陥りがちです。2つの行動パターンは、いずれも自分のことばかりを考えていて、相手の立場で考える努力が足りないのではないでしょうか。

 自分がどう見られているかばかり考えるのは、自分のことしか考えていないのと同じです。もちろん、自分の経験や実力を見せつけようとしてばかりでも困ります。