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 主に携帯接続料についてルールを定めている「第二種指定電気通信設備制度(二種指定制度)」について、見直しを求める声が高まっている。ここで言う携帯接続料とは、自社ネットワークへの着信に対して他の固定・携帯電話事業者から徴収する料金のことである。

 接続料の設定額は各事業者間の協議で定めることが前提だが、一般的に契約数の多い携帯電話事業者と少ない携帯電話事業者が交渉する場合は、後者には「交渉が不調に終わると自社の契約者が多くの他社携帯利用者と通話できなくなる」という弱みがある。このため契約数の少ない携帯電話事業者は交渉力が弱く、高額な接続料を設定されてしまう懸念がある。そこで二種指定制度は、25%以上の端末シェアをもつ携帯電話事業者を第二種指定電気通信設備を設置する事業者(二種指定事業者)と指定し、接続料や接続約款を定めて総務省へ届け出ることを義務づけている。現在はNTTドコモとKDDIが該当している。

 二種指定事業者であるNTTドコモとKDDIは毎年、接続料を総務省に届け出るとともに対外的に公表している。ただし、以前は何を算定項目にするかの規定が制度上なかった。算定基準の透明性向上を求める声があったことから総務省は制度の見直しを図り、2010年3月29日に「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドライン」を公表した。ガイドラインでは接続料を算定する上での項目を細かく定めるとともに、周波数再編に伴う周知にかかるコストや、迷惑メールおよび災害時の通信手段確保に関する啓発活動といった特殊なものを除くすべての営業費用は算入してはいけないとした。NTTドコモとKDDIはガイドラインに従って営業費用を除いた結果、2010年度の接続料は両社ともに前年度比約30%と過去最高の値下げ幅となった。

 接続料については、ソフトバンクモバイルの接続料の設定が話題に上ることが多い。NTTドコモによると、2008年度においてソフトバンクモバイルの接続料はNTTドコモの1.28倍になるという。NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏も2010年度第3四半期決算に関する説明会の場で、「接続料の差が10%とかなら分かるが、他の携帯電話事業者であまりに違うのは特異」と発言し、事実上ソフトバンクモバイルの接続料設定を批判した。「接続料による収入が無料通話の原資になっているのでは」「高い接続料を維持して通話料値下げや無料通話の範囲を拡大するのでは」と懸念する業界関係者もいる。

 ただしソフトバンクモバイルは接続料に関する制度に何ら抵触していない。そもそも同社はシェアが25%に満たないために、二種指定事業者ではない。したがって総務省に届け出る義務はなく、接続料は事業者間の精算の際に示すものの、項目ごとの算定費用を他社に示す必要はない。ガイドラインでは、「二種指定事業者以外の携帯電話事業者についてもガイドラインを踏まえた積極的な対応を行うことが適当」と記述しているが強制力があるものではない。

 一方、二種指定制度の規制根拠が環境の変化によって薄れてきているという立場の意見が増えている。現行の二種指定制度は事業者間の交渉力の違いに着目しているものの、ソフトバンクモバイルは純増数を順調に増やしており、端末シェアは約20%に達している。圧倒的な交渉力の差があるとは言えない状況、という考え方である。

 ガイドラインを受けて制定を進めている総務省の省令案「第二種指定電気通信設備接続会計規則」に対する意見募集でも、「すべての携帯電話事業者を対象とすることが適当」(NTTドコモ)、「二種指定制度が撤廃されないならば、非二種指定事業者も接続料算定の会計データを公表すべき」(KDDI)といった意見が出ている。これらの意見に対してソフトバンクモバイルは再意見募集において、「非二種指定事業者にガイドラインを適用することは、二種指定制度の趣旨を形骸化させる恐れがある」として反発している。

 二種指定制度について検討している情報通信行政・郵政行政審議会 電気通信事業部会の接続委員会でも、2011年2月16日に開催した第14回会合の場で、接続料格差に関する意見が出た。構成員からは、「事業者間の場外乱闘も出てきている。一定の制度の下で、双方の携帯電話事業者が納得して合意できる必要がある」、「前向きな強めの環境ができあがることを強く望んでいる」など、制度見直しに積極的な意見が相次いだ。