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 価格が安いことばかりを自社のクラウドサービスのセールスポイントとして訴求する事業計画をよく見ますが、クラウドサービスの本当の価値はコストを削減することだけではありません。

 クラウドサービスの価値として訴求するべきポイントの一つに、社外との連携があります。例えば、会計クラウドサービスであれば社外の会計士との業務の連携がしやすいこと。不動産管理クラウドサービスであれば、オーナーや管理会社、不動産ファンドなどの複数の会社の間の業務の連携がしやすいことが訴求ポイントとなります。

 クラウドサービスが訴求するべきもう一つの価値は、集合知です。ユーザー数が増えれば増えるほど、そのクラウドサービスを使う意義が増すというコンセプトです。会計クラウドであれば、財務KPI(重要業績指標)の比較サービス。名刺管理クラウドであれば、コンタクト先の異動や昇進を他社の最新情報に基づいてアラームしてくれる機能などです。集合知はパッケージソフトでは絶対に提供できない仕組みなので、クラウド vs パッケージのコンペでは決定的に重要です。また、クラウド vs クラウドの戦いでも、リーダーポジションのクラウド企業がフォロワーポジションのクラウド企業に対して徹底的に訴求するべき戦略です。

 クラウドサービスが売れる条件は、「クラウドでなければならない必然性」があることが重要です。コスト削減だけを追求しても、ダンピングを覚悟したパッケージソフトや他社のクラウドサービスとの明確な差別化はできません。クラウドの最大の特長はデータが一つの場所に集まっていることで、その特長から生まれた価値を営業戦略や商品戦略で徹底的に極めていくことが大切です。

入野 康隆(いりの やすたか)
リンジーコンサルティング 代表取締役
ASPIC主任研究員
リンジーコンサルティング 代表取締役 入野 康隆 東京大学法学部を休学しUniversity of British Columbia(カナダ)へ転入・卒業。ソフトウェア会社OracleでITコンサルタント、外資系コンサルティング会社Headstrongにて経営コンサルタントを経て、リンジーコンサルティングを設立。IT業界から宇宙ビジネスまで、数社のベンチャー企業、大手企業の取締役・顧問を務める。