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 今回は、テクノロジーとして「情報システム構築全般」の話を進めていきます。システムの要件を定義する際には、「経営陣」、「各部門責任者」、「実務担当者」などで異なるニーズを考える必要があります。その上で、各国で利用している機能を洗い出し、全世界で共通のグローバル標準機能と、各国独自のローカル機能のバランスをとることが大事です。

 前回の「第3回 戦力となる人材は自社で育てる」を読んでいただけたでしょうか?

 最近は、日本企業の中でも「グローバル企業」と言われる企業では、個別最良を各拠点に任せていた「インターナショナル型」から、「真のトランスナショナル型」へ変貌するための議論を経営陣が始めているという話をしました。そして、「真のトランスナショナル型」に企業が変革していけば、グローバルスケールで管理コストが抑えられ、世界経済が不調な中で「景気の踊り場」の現企業環境を改善できるという背景も説明しました。

 「商流」「物流」「情報」のグローバル化はまさに、それを計画・実行する「人」が「良い結果」も「悪い結果」ももたらすという話もしました。「企業は人なり」です。

 最後に「グローバル化に必要な人材」を育成するため、とりわけ「商流」「物流」「情報」の情報部分を司るIT部門、戦略部門としてのIT部門の「必須人材・スキル」の定義の仕方を例題を交えながら解説しました。皆さんの所属している企業が「グローバル化の真っ最中」でしたら、参考にしていただければと思います。

ユーザーの所属するグループを意識して要件を定義する

 さて、ここからは今回のテーマとなるテクノロジーの話をしましょう。ただし、ここでいうテクノロジーとは、クラウド、タブレット型端末、RIAなど技術的手段としてのテクノロジーではありません。技術的手段の最新動向については、読者の皆さんやほかの筆者のほうが知識を持っているので、私の稚拙な知識を振り回し「グローバリゼーションにおける最新技術」について言及しても意味がありません。ここでは、「情報システム構築全般」を指して、話を進めていきたいと思います。

 哲学的に聞こえるかも知れませんが、まず「企業にとってのテクノロジーはいったい誰のためにあるのか?」についてお話ししましょう。

 「そんなのユーザーのために決まってる」と言う声が聞こえてきそうです。では、ユーザーというのはひとくくり、つまり一つのソリューションですべてのユーザーのニーズに答えられるのでしょうか? この答えは、もちろん“NO”です。

 企業には経営戦略の策定・実行に関わる「経営陣」、各部門でそれぞれの戦略実行をマネージする「各部門責任者」、各部門で実際の業務の実行を行う「実務担当者」と大きく3つに分かれています。これらの3種類のユーザーは本当に同じニーズを持って仕事を日々しているでしょうか? また、企業がグローバリゼーションを考える際に、世界中の拠点に属する社員を同じニーズとしてとらえてもよいのでしょうか? IT的に話をすると、「要件定義フェーズ」で、これら3つのグループの異なるニーズを考えながら、定義する必要はないのでしょうか?

 図1に「経営陣」、「各部門責任者」、「実務担当者」の情報テクノロジーに対するニーズの例をまとめてみました。このように、「経営陣」、「各部門責任者」、「実務担当者」の各グループに属する方々は、その所属するグループによって情報、システムに関するニーズが異なっているのです。

図1●所属するグループによって情報やシステムに関するニーズは異なる
図1●所属するグループによって情報やシステムに関するニーズは異なる
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 一見、当たり前な話のように思われがちですが、「要件定義」や「機能分析」のフェーズで、これらを頭に入れて情報を効果的に引き出せるテクノロジーやシステムを考えないと「IT部門の独りよがりな情報体系やシステムの構築」をしてしまうことになりかねません。