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 企業のネットワークインフラに新しい波が押し寄せてくる。約300Mビット/秒もの最大データ伝送速度を誇る最新無線LAN規格の「IEEE 802.11n」だ。11n規格の正式な国際標準仕様は2009年9月に決まり、これに準拠した企業向けの製品が既に登場していた。にもかかわらず、これまで積極的に、11n準拠の無線LANを構築しようという企業は多くなかった。その状況が今、変わろうとしている。

スマートフォンやタブレット型端末の台頭が、IEEE 802.11n準拠の無線LAN導入を加速

 企業が11n準拠の無線LANに強い関心を抱き始めた要因は、米アップルのiPhoneとiPadに代表されるスマートフォンやタブレット型端末など新型デバイスの台頭である。無線LAN構築を得意とするインテグレータは、「企業が11n準拠の無線LAN を導入する背景はいくつかあるが、今の時点では11nを搭載したiPadやiPhone 4の登場が大きい」(ユニアデックス ソリューション事業グループ ビジネスイノベーション統括部 プラットフォームソリューション部の片澤友浩グルーブマネージャー)と説明する。

 2010年5月に国内発売されたiPadは、大画面とマルチタッチディスプレーを使った軽快な操作で、企業向けの新端末として受け入れられつつある。今後はさらに、同型のAndroid端末がいくつも登場する。

 これら新型デバイスは、有線LANのインタフェースを備えていないため、社内で業務用端末として使うには無線LANが欠かせない。しかも iPadのようなタブレット型端末を中心に、映像などの大容量データを伴うアプリケーションの利用頻度が高くなりそうだ。多くの社員がこうしたアプリケーションを軽快に操作できるようにするには、既存規格の「IEEE 802.11a」「同b」「同g」では速度が足りない。そこで、高速な11nが必要になる。

 実際、そうした用途に向くように、iPadやiPhone 4は11n規格に準拠した通信機能を搭載している。NTTドコモが2010年10月に発売したスマートフォンのGALAXY Sなど、Android端末にも11nを搭載する機種が登場しており、今後11n搭載機が主流になっていくと見られる。

11nの普及率は低いが、増加傾向は明らか

 従来、主要な無線LAN規格は11a、11b、11gの3種類だった。最大データ伝送速度は、11bが11Mビット/秒、11aと11gが54Mビット/秒である。利用する周波数帯を見ると、11bと11gは2.4GHz帯、11aは5GHz帯を使う。

 これに対し11nの最大データ伝送速度は約300Mビット/秒。既存規格の11a/gの約6倍に達する。有線LANの100BASE-TXと比べても、約3倍も高速だ。しかも、2.4GHz帯と5GHz帯の両方の周波数帯を使える。

 11nを導入している企業はまだ多くはない。日経コミュニケーション誌が2010年9月に実施したアンケートの結果では、無線LANを導入済みの企業は約50%に上るが、11nを導入している企業に限定すると全体の7.6%にとどまった。ただし、導入時期を調べてみると、11n導入企業が着実に増えていることが分かる(図1)。

図1●IEEE 802.11n準拠の無線LANを導入した割合と導入時期<br>日経BPコンサルティングのインターネット調査システムを使い、「日経コミュニケーション」読者モニターに対して調査を実施した。調査期間は2010年9月21日~28日、回答企業数は431社中249社(回収率57.8%)。
図1●IEEE 802.11n準拠の無線LANを導入した割合と導入時期
日経BPコンサルティングのインターネット調査システムを使い、「日経コミュニケーション」読者モニターに対して調査を実施した。調査期間は2010年9月21日~28日、回答企業数は431社中249社(回収率57.8%)。
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