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 前回は、プロジェクトを人が育つ場に変えるための3つの工夫---「任せる」「巻き込む」「兼ねる」のうち、「任せる」を紹介した。今回は、「巻き込む」「兼ねる」を紹介しよう。

工夫2 巻き込む---教え教わる関係を作り出す

 二つ目の工夫は、育ってほしいメンバーの育成に、周囲のプロジェクトメンバーを巻き込むことだ。プロジェクトのメンバーは基本的に自分の仕事をこなすことが優先で、スキルのないメンバーの育成には関心がない、と思った方がよい。それでも、メンバーが育つためには、スキルの高いメンバーからの助言やアドバイスが不可欠である。「いかに周囲を育成に巻き込むか」が、マネジャーやリーダーにとっての課題となるのだ。

 そのための工夫が「問題を抱えたメンバーに対して助言しやすい状況を作る」「メンバーの教育に合格ラインを課す」といった取り組みだ。いずれも、メンバーを巻き込む効果がある。

 現場でこれらの工夫を凝らすことで、プロジェクトの現場で教え教わる関係が生まれ、メンバーの底上げが図れる。

KPTで周囲の助言を引き出す

図5●KPT法を使って周囲のメンバーを問題解決に巻き込む
図5●KPT法を使って周囲のメンバーを問題解決に巻き込む
インテックの大村氏は、ユーザーとの打ち合わせや、メンバーの作業進捗が滞りそうになったとき、その日のうちにメンバー全員を巻き込んでKPT法を使って振り返っている。周囲のメンバーのノウハウや経験を引き出すことを狙う
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 インテックの大村幸敬氏(ITプラットフォームサービス事業部 システム第二課 主任)は、「KPT」と呼ぶ手法を使っている。周りのメンバーが問題を抱えたメンバーに助言しやすい状況を作り出し、周囲を巻き込む手段として活用している(図5)。

 KPTは、「できたこと(Keep)」「課題(Problem)」「次にやるべきこと(Try)」の三つを整理する手法のこと。ホワイトボードや模造紙などに三つの枠を設け、取り組んでいる仕事について、K、P、Tのそれぞれを書き出して、整理していく。課題を踏まえて次にやるべきことを検討するので、問題解決策の検討に役立つ。

 大村氏は、プロジェクトのメンバーが何かの問題に直面したとき、周囲のメンバーが集まれる時間を見計らって、KPTを実施している。

 例えば、問題を抱えたメンバーがまず、Pの欄に「ユーザー企業のオフィスで作業を進めようとしたが、担当者が不在で作業ができなかった」といった内容を書く。すると、周囲のメンバーから「作業に立ち会う担当者が打ち合わせの担当者と同じかどうか、事前に確認する必要があったね」「その作業が必要だったら、最優先で日程調整をしておかなければいけなかった」といった、アドバイスが出てくる。具体的な解決策をもらったメンバーは、次回から円滑に打ち合わせが進められるようになる。

 ポイントは、KPTという手法を用いることでメンバーが集まりやすい場を作ること、そして、メンバーが抱える課題を文字にして伝えることによって、周りのメンバーから具体的な助言を引き出しやすくすることだ。大村氏は「周囲のメンバーにとってもメリットはある。他のメンバーが直面した問題について議論することを通して、解決策を自らのノウハウとして蓄積できる」と説明する。