PR

 ソフトバンクモバイルは、2006年10月末にシステム障害が原因で携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の受け付けを停止。その前年には、基幹系システム再構築プロジェクトを中断した。

 こうしたトラブルが続いた根本的な要因は何か。「システム部員のITスキルの低下だ。ITベンダーに開発や運用・保守を丸投げする体質が染み付いていたことがよくなかった」。ソフトバンクグループ主要3社(ソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBB)の情報システム部門を統括するソフトバンクモバイルの平尾芳郎常務執行役員情報システム本部長は述べる。

「システム部門の強化に地道に取り組み続けた」ソフトバンクモバイル 常務執行役員情報システム本部長 平尾 芳郎氏
「システム部門の強化に地道に取り組み続けた」
ソフトバンクモバイル 常務執行役員情報システム本部長 平尾 芳郎氏

 システム障害や再構築プロジェクトの不調といった危機を回避するための抜本的な方策は、「システム部門のITスキルのレベルを高めることである」(平尾常務執行役員)。その具体策として、チームと個人の二つの側面からITスキルの底上げに取り組んだ。

 システム部門の再生。ソフトバンクは、最も根気のいる危機回避策を選択したわけだ。

 ITスキルを高めるための“修行の場”として、ソフトバンクモバイルの課金や顧客管理といった業務を支える基幹系システム「BACUSS(バッカス)」の再構築プロジェクトを選んだ。約2年半がかりという大規模開発を、ITベンダーと一括請負契約を結ばず、システム部員が中心となって開発作業を進めることにした。ITベンダーはあくまで開発支援という役割。システム部員に主体性を持たせ、ITベンダーに頼れないようにしたわけだ。

 システム部員にプロジェクトを主導させたことで、「システム部員のプロジェクトに対する責任感やコスト意識が高まった」(平尾常務執行役員)という。さらに「プロジェクトへの参加意識が強くなり、自身のITスキルを積極的に磨く部員が増えた」と続ける。

過去に発生したトラブル
基幹系システムのハードの処理能力不足のために2006年10月、携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の申し込み受け付けを、同月28日から2日間にわたって停止した。
(日経コンピュータ2006年11月27日号「動かないコンピュータ」)

 大規模開発プロジェクトで実践経験を積ませることに加え、システム部員にはITスキルを体系的に習得させることにも力を入れた。難関とされるオラクルやシスコの上級認定資格を取得する部員が、順調に増えているという。「システム部門のITスキルの強化は時間がかかるし、苦労も多い。それでも『動かないコンピュータ』を回避する最も有効な方策だと思う。以前とは違って、システム部員は自信を持って、仕事に取り組んでいる」。平尾常務執行役員は話す。