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 「2010年3月末のgooメールのトラブルでは、たくさんの利用者にご迷惑をおかけした。トラブルの原因と利用者の反応から、我々は多くのことを学んだ」。

 ポータルサイト「goo」やWebメールサービス「gooメール」を提供するNTTレゾナントの荻堂盛修メディア事業部長はそう話す。同社がトラブルを通じて得た教訓は、利用者の立場になってサービスを提供するという原点に立ち戻ることの重要性だ。

 NTTレゾナントは、2010年3月31日にgooメールのバージョンアップを実施した。サービス刷新後の新機能の売りものは、メールボックスの容量を2Gバイトに拡張したことや、携帯電話からのメールに絵文字を表示できるようにしたことである。

「推奨環境以外についてもテストを徹底」NTTレゾナント メディア事業部長 荻堂 盛修氏
「推奨環境以外についてもテストを徹底」
NTTレゾナント メディア事業部長 荻堂 盛修氏

 ところがバージョンアップの直後、利用者から「使い勝手が悪い」「動作が遅い」「元に戻してほしい」といった苦情が殺到する。このトラブルは、機能を絞ったgooメールの新サービス「シンプルモード」をリリースした2010年5月末までの約2カ月続いた。

 「当社は推奨環境のPCでのテストを入念に実施し、これで十分と考えていた。だが実際は、gooメールを使用する利用者のPC環境を把握しきれないまま、新しいサービスをリリースしてしまった」と、荻堂事業部長は反省する。

図5●NTTレゾナントがgooメールのトラブル発生後に導入した、新サービスを投入する際のルール
図5●NTTレゾナントがgooメールのトラブル発生後に導入した、新サービスを投入する際のルール
検証作業や利用者への告知時期を見直した
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 同社はgooメールのトラブルの教訓を生かし、新サービスや大規模なバージョンアップをする場合のテスト方法や、サービスの告知時期を見直した(図5)。

 まず、NTTレゾナントは推奨環境以外のPCについても、必ず動作検証するように決めた。gooメールの場合は、Windows 98やMeといったWindows XPよりも前のバージョンのOSを搭載するPCでも、正常に動作するかどうかをテストする。「我々が推奨する環境以外のPCを使う利用者のことを考え、入念にテストする必要があることを痛感した」(荻堂事業部長)からだ。

 gooメールのトラブルは、推奨環境以外のPCを使う利用者で多発した。バージョンアップ後のgooメールの推奨環境は、OSがWindows XP/Vista/7だった。

 ところが、トラブルが発覚した後に利用者のPC環境を調べたところ、「Windows XPよりも前のバージョンのOSなど、古いパソコンを使っている利用者も相当数いる」(荻堂事業部長)ことが分かった。こうした事実を踏まえ、「バージョンアップの前に、古いPCでも動かせるかどうかを検証する必要がある」と判断した。

 もう一つの対策は、バージョンアップや新サービスの開始を告知するタイミングの見直しだ。サービス提供開始前の告知期間をこれまでよりも大幅に長くすることにした。

 早めに知らせるのは、利用者が新しいサービスを使うために、PCの設定変更などの準備期間をできるだけ長く取るためだ。「サービスの内容にもよるが、最低でも1カ月ぐらい前には新サービスを提供することを利用者に告知する」(荻堂事業部長)。

過去に発生したトラブル
2010年3月末にWeb メールサービス「gooメール」の刷新に失敗。利用者からは「動作が遅い」「元に戻してほしい」などの苦情が殺到し、トラブルが約2カ月続いた。
(日経コンピュータ2010年5月12日号「動かないコンピュータ」)

 1カ月以上の期間を置き、その間、利用者から質問・意見・要望を受け付ける。こうした利用者からの声に対して、回答・説明する時間も十分に確保できる。「利用者とのコミュニケーションを通じて、新サービスで発生するかもしれない障害を未然に防ぐことができる。これだけでなく、新サービスを、利用者の望む姿に近づけやすくなる」(荻堂事業部長)。