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 2001年の発行以来「10年後も通用する基本を身につけよう」のキャッチフレーズで読み継がれてきた書籍「なぜ」シリーズ。この先の10年に向けて、何をいま知っておくことが重要なのかを著者の皆さんに語ってもらいます。(編集部)

 コンピュータには、様々な種類があります。電化製品に組み込まれるマイコン、家庭や職場で使われるパソコン、大企業の情報を管理する大型コンピュータ、特殊な研究機関で使われるスパコンなどです。どのような種類のコンピュータであっても、入力、記憶、演算、出力、制御という5つの機能を備えています。これらを「コンピュータの五大機能」と呼びます。これは、10年後も通用するコンピュータの基本の1つでしょう。

 入力とは、コンピュータの外部から内部にデータを取り込む機能です。記憶とは、コンピュータの内部にデータを保持する機能です。演算とは、コンピュータの内部でデータの計算や変換を行う機能です。出力とは、コンピュータの内部から外部にデータを送り出す機能です。そして、制御とは、与えられたプログラムの内容に従って、他の4つの機能を順番に動作させることです。

 パソコンを例にして、コンピュータの五大機能を実現している装置が何かを考えてみましょう。キーボードとマウスは、入力装置です。メモリーとハードディスクは、記憶装置です。メモリーのことを主記憶装置と呼び、ハードディスクのことを補助記憶装置と呼んで、両者を区別することもあります。CPUは、演算装置と制御装置を兼務しています。ディスプレイとプリンターは、出力装置です。

ユーザーの視点からエンジニアの視点へ

 私は、IT企業の新人研修でコンピュータの基礎を教えています。新人さんたちに最初に教えるテーマを、コンピュータの五大機能にしています。その理由は、IT企業に入社したからには、まずもってコンピュータを見る視点を、ユーザー視点からITエンジニア視点に変えてほしいからです。「コンピュータに何ができますか?」と質問されたとしましょう。ユーザー視点の答えは「ワープロ、ゲーム、インターネット」などでしょう。ITエンジニア視点の答えは「入力、記憶、演算、出力、制御」です。

 IT企業の新人さんたちは、使う側ではなく、作る側になったのですから、そもそもコンピュータに何ができるかを知らねばなりません。ITエンジニアは、人間が手作業で行ってきた業務や遊びを、コンピュータ上で効率的に実現するシステムを開発します。ITエンジニアには、業務や遊びの内容を入力、記憶、演算、出力、制御という視点で分析する能力が要求されます。例えば、ワープロを作るなら、文書編集、漢字変換、印刷といった様々なユーザー視点の機能を、入力、記憶、演算、出力、制御というITエンジニア視点の機能に細かく分解できねばなりません。