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 2010年に京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が日本航空の会長に就任して以来、その経営手腕に世間の関心が高まっている。稲盛氏が京セラの創業間もない時期から開発してきた管理会計の仕組みが「アメーバ経営」だ。本著ではアメーバ経営学に関する8本の研究論文を掲載し、アメーバ経営の本質を考察している。

 アメーバ経営は「機能ごとに小集団部門別採算制度を活用して、すべての組織構成員が経営に参画するプロセス」と定義されている。小集団同士が社内で取引を繰り返し、付加価値の合計を最終価格とする。従って社内で利害の対立が起こった時に、声が大きい小集団のリーダーが無理に自分の利を通そうとすることが起こりがちだ。第1論文では、京セラ創業期に「若手の反乱」が起こったエピソードに立ち返り、その際に稲盛氏が「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する」という経営理念を定めたことに言及。アメーバ経営が大家族主義や運命共同体という意識に立脚していると指摘する。

 管理会計という合理的なシステムと、大家族主義などの「非合理的」な思想が溶け合っていることが理解できる。

アメーバ経営学

アメーバ経営学
アメーバ経営学術研究会編
KCCSマネジメントコンサルティング発行
2940円(税込)