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 経営コンサルタントとして著名なブライント・レーシーがリーダー論をまとめた一冊である。ベストリーダーの特性や必要な資質、それを身に付けるためにやるべき「極意」がコンパクトにまとめられている。内容もさることながらまとめ方も参考になる。

 本書はまず、優れたリーダーの七つの特性として、将来展望、勇気、誠実さ、謙虚さ、先見の明、選択と集中、協調を提示する。七つの特性のなかに強力なリーダーシップをイメージする特性と人間的魅力に通じる特性が並ぶのが興味を引く。謙虚さの説明で出てくる「学び続ける」「すべての読書家がリーダーとは限らないが、すべてのリーダーは読書家である」は、評者としては我が意を得たりという思いであった。

 次に筆者は、リーダーとして「己を知る」という観点から44の質問を投げかけてくる。その後の理解を深める上でも実際に質問に答えることをお勧めする。

 続いて、優れた軍事戦略をビジネス戦略に応用して「勝利を導くための12の原則」を紹介する。続いて、それを実行するマネジメントとして、「マネジャーの七つの役割」と「マネジャーが担う七つの目標」を解説する。計画作成や管理監督に加え、教育、人材育成についても触れる。特に部下のやる気と実行力を維持するために「自尊心を育てる」という項目が参考になった。さらに、最高の人材の雇用を確保して、かつ、それを維持するために、リーダーが発揮すべき役割の説明が続く。雇用確保は日本と事情が異なるが、維持については目新しく興味がわく施策が多かった。

 終盤、論はチーム作りやチーム運営へ移る。ここでリーダーに欠かせないコミュニケーション力について、「リーダーとしての成功の85%はコミュニケーション」で決まると説く。特に部下とのコミュニケーションで重要な四つのA、すなわち、感謝する(Appreciation)、認める(Approval)、称賛する(Admiration)、関心をもつ(Attention)を解説するくだりは、本書で最も印象深く、実践したい項目である。

評者:村林 聡
銀行における情報システムの企画・設計・開発に一貫して従事。三和銀行、UFJ銀行を経て、現在は三菱東京UFJ銀行執行役員システム部長を務める。
ブライアン・トレーシー 「ベストリーダーの極意」

ブライアン・トレーシー「ベストリーダーの極意」
ブライアン・トレーシー著
朝日新聞出版発行
1785円(税込)