PR

 悪人から自分や自分の財産を守るには、まず悪人の手口を知ることが大事──本書を読んで、まずそう思った。本書は、コンピュータやネットワーク、携帯電話を使った悪質な手口や攻撃手法を解説しつつ、セキュリティ関連の法規や組織、対応策について触れた一冊だ。

 各単元はポイントを把握しやすいように2ページごとにまとめられている。イラストや図が多いのは理解の助けになるが、端折っているところも多いので、ある程度知識がある人向けか。全くの入門者には別の本をお薦めする。

 本書の魅力は、悪質な手口とそれを発想する人間、そしてそれを取り締まる法規や組織を「生き生きと」描いている点だ。著者は、警察庁でサイバー犯罪を担当した人物。文章は非常にきっちりしているのだが、著者がなにやらうれしそうにこれらを書いているように思えるのは私だけだろうか。

 高額な本だが、幅広い内容を高密度で収めているので、むやみに高いわけではない。大量のイラストや図を回り込むようにして文章が配置されており、情報量は多い。巻末の索引も充実している。さすが大学関連の出版社、と感心した。

情報セキュリティ入門

情報セキュリティ入門
羽室 英太郎著
慶應義塾大学出版会発行
2940円(税込)